「私が女になった日」

何にも知らないんだなぁ


  

今回観てきたのは、地下鉄だと御堂筋線の動物園前、JRだと新今宮、どちらの駅からもすぐのところにあるフェスティバルゲート、ここの7階に4つのスクリーンを持つ「動物園前シネフェスタ4」。
これまでもここで何本も映画を観てきました。なかなかきれいで、しかも観やすいスクリーンですので、みなさんにも是非行っていただきたい。いつも悲しいほどすいているので今後が少し不安です。月曜は男性1,200円のメンズデー実施中です。
今夜も上映を知らせるブザーが鳴るまではボクを含めて2人だけ。上映終了後に振り返ると12名に増えていてほっとしました。

さて、
先日「カンダハール」観た後で、アフガニスタンについて何も知らないことが分かったんだけど、今回もそうだった。ボクはイスラム教の国に住む人いたち、特に女性について何も知らないのだと思い知らされました(もちろん、現在も良くは知らないんだけど)。
「カンダハール」を撮った監督の奥さんが監督した作品だそうです。

イランのキシュ島を舞台に、少女、主婦、老女をそれぞれ主人公にした短編3話のオムニバス映画です。この3話は一見何も関係がないようだけど、少しだけ重なっている部分があり、それぞれのお話が同じ日に起こったことだと最後に分かります。

ボクが特に気に入ったのが、第二話の「アフー」(各話には主人公の名前がタイトルに使われています)。
海沿いのサイクリングロードをマウンテンバイクに乗った女性の一団が駆け抜けていく。彼女たちは遠足に来ているのかのか、単にサイクリングを楽しんでいるのか、それとも競走をしているのかはよくわからない。
その一団に馬に乗った男が「アフー、アフー」と叫びながら近づいて行く。しかし名前を呼ばれた女性は耳を貸さないばかりか、足を止めようともしない。男は「今すぐ自転車を降りて家に戻れ」と言うが、やがてあきらめて去っていく。
自転車の一団はさらに海岸沿いを進む。また蹄の音が近づいてくる。今度はさっきの男と仲人をしたおっさんが一緒だ。「今、自転車を降りないと離縁だ」と言われてもアフーは漕ぐ足を緩めない。
しばらくすると、数頭の馬が近づいてくる。アフーの親や一族の長老が彼女に考えを翻すように迫る。しかし彼女の足は止まらない。「七つ数えるまでに自転車から降りなければ勘当だ!」と叫んで数を数え始める。でもアフーはひるまない。まるで、自転車を漕ぎ続けることのみが自分を縛り付けている古い世界から抜け出ける唯一の方法かのように。事実アフーは自分の世界から新しい世界へと駆け出そうと必死になってペダルを漕いでいるのかもしれない。
一族の者たちもやがてあきらめて去っていく。
いつしか、アフーは集団の先頭を走っている。
ふと視線を上げると、サイクリングロードを塞ぐように二頭の馬が待っている。その馬にはアフーの兄が乗っている。アフーは兄たちを振り切って新しい世界に漕ぎ出して行けるのか...。

一話目は微笑ましく、三話目はちょっぴり悲しいお話です。
上手くご紹介できませんでしたが、なかなかいい映画です。ひっそりと上映されていますが、多くの人、特に女性にご覧いただきたいですね。

次回はメキシコ映画「アモーレス・ペロス」を観に行く予定です。

おしまい。