「テルミン」

不思議な楽器と数奇な運命


  

ほんとは韓国映画の「反則王」をレイトショーで観る予定だったが、タッチの差で劇場到着が遅れ、予告編なしで本編より上映ですよと窓口嬢に教えてもらい、泣く泣く断念。大阪での公開を待つことにします。慣れない土地で映画を観るときには時間に余裕を持って行かないとあかんね。

で翌日、恵比寿のガーデンシネマで観たのが「テルミン」。大阪でも同時公開中の映画をわざわざ東京で観ることもないような気もしますが、時間の都合で仕方ない。この恵比寿ガーデンシネマは綺麗でなかなか「好(ハオ)」。

何とも言えない不思議な映画。この映画が制作されてから8年の時を経て、今日本で公開される意味も良く分からないが、それを観に行ってしまう自分も良く分からん。
でも、心をちょっぴり揺れ動かされるお話しであり、音色であり、機械であるのだ。「事実は小説より奇なり」を地で行くような、そんな映画でした。

ストーリーは特になく、この映画はドキュメンタリー。「テルミン」と名付けられた「無接触型電気楽器」とこの機械を開発したテルミン博士がたどる数奇な運命を、大昔の映像や新聞記事、そして関係者の証言でなぞって行く。テルミンが作り出すその怪しげな(?)音色を耳にするだけでも意味があるのかな。ヨーロッパを始め、アメリカでも成功をおさめたテルミン博士は、その成功の絶頂時にアメリカから姿を消してしまう。テルミンの音色以上に彼の運命の方がミステリアス。
後半は博士自身の回想と彼の手によるテルミンの演奏がお楽しみいただけます。

テルミンそのものよりも、テルミンの音色を効果音に使った昔のアメリカ映画のシーンに興味が湧きました。
この映画ってほんまにドキュメンタリーなのかなぁ。ボクはひょっとしたらテルミンそのものも含めて映画そのものがフィクションなんとちゃうのかなぁ、なんて思ってしまいました。

敬老の日の午前中にもかかわらず、200名ほどの劇場に半分ほど入っていました。おそるべし「テルミン」。

おしまい。