「星降る夜のリストランテ」

何時間もかけてゆっくりディナーを食べたい!


  

先週末に扇ノ山に行ったときは、まだ秋の気配なんて微塵もなかったくせに、今週に入ってからは朝夕はめっきり涼しくなりました。まだ今週一杯は8月だというのに、季節は着実に移って行こうとしているようです。お陰で、エアコンを稼働させ続けていた夜からも解放されて、気持ちよくぐっすり眠れます。日中はまだまだ暑さが続いているけどね。

で、今回ご紹介するのは「星降る夜のリストランテ」。
確か、昨年の秋にパラダイスシネマでレイトショーのみで公開されたイタリア映画ですね。あの時は何故か見逃してしまいましたが、今回ようやく観てきました。
会場は阪急王子公園駅のほど近くにある西灘劇場。ここで映画を観るのは3度目か4度目。程良い大きさで、昔ながらの映画館ですね。月曜の最終回にもかかわらず、20名ほどの入りですから、なかなかのものですね。

ローマのとある小さなリストランテ(レストラン)がこの映画の舞台であり主人公なのです。このリストランテで毎夜繰り広がられているあろう様々な人間模様、ドラマ。そんなある晩をスケッチした作品です。
登場するのは、リストランテのオーナー夫婦、シェフやウェイターといった従業員はもちろん、テーブルを囲むお客さん、そしてレストランに集まる人たちを目当ての絵描きや怪しげな占い師(?)など、多士済々。

お客さんは、毎晩この店で食事をする常連さん(テーブルも注文する料理も決まっている)、何かのお祝いをするためにテーブルを予約した親子、口から泡を飛ばして議論する舞台演出家と俳優、娘から修道女になりたいと告白される母親、浮気相手の女子学生と哲学教授、アジアからの観光客一家、仲違いしている関係を修復しようとしている親子、携帯電話で指示を出すキャリアウーマン、妊娠しているかも知れない彼女をなだめすかしているアベック、ふらっと一人で入ってくる淋しげなサラリーマン、そしてマイペースを貫くウェイターといつも怒鳴っているシェフ...。
お客さんたちは、この店で食事をすることを心の底から楽しんでいるし、従業員達も楽しそうに料理を作り、サービスする。いいなぁ。こんなリストランテ。すばらしい!
でも、セリフでは日本人と出てくるアジアの親子は、耳を澄ませて会話を聞いているとどうやらハングルをしゃべっているような...。カルボナーラにケッチャプを掛けるなんて!

お客さんたちや従業員たち、それにオーナー夫婦が織りなすそれぞれのドラマが縦横に飛び散っているんだけど、それぞれが破綻することなく、ほどよく面白く、そしてほろっとさせられたり、どきっとさせられたり。なかなか良く練られた小品ですね。ボクもイタリアへ行ったならこのリストランテで一度食事がしてみたいな(個人的には、教授と不倫中の女学生と一緒に)。
この映画を観るときは、お腹が空いていると身体に毒ですからお気を付け下さいね。空腹のボクにはキツかった。

おしまい。