「風櫃の少年」

少年時代は懐かしいもの


  

「ソウル風邪(?!)」をこじらせてしまい、久しぶりにお医者さんにかかりました。年やなぁ。
そんなこともあり、とうとう今月は一度も登山靴を履くことが無いうちに終わってしまいそうです。
ソウル風邪の方はおかげさまで、なんとか快方に向かっています。

そんな金曜日に観てきたのが、少し古い台湾の映画「風櫃(ふんくい)の少年」。1983年の作品だから18年も前の作品ですね。
会場は初めて行く「PLANET+1」。かなり怪しい会場。梅田の雑居ビルの半地下1階にあり、マンション風のドアを開けると映写機が剥きだし。その奥に折り畳み椅子が30脚ほど置いてある。
そんな会場ですが、物好きなお客さんが私を含めて5名。定刻に上映開始。

風櫃は台湾の南、高雄の西(?)に浮かぶ島。
物語はこの風櫃と高雄を舞台にして進んでいきます。

主人公の阿清はこの島に住む10代後半の少年。高校は中退して、兵役までの時間を幼なじみ4人とぶらぶら遊ぶ日々を過ごしている。ある日、別のグループとケンカを起こして警察沙汰になってしまう。田舎での退屈な暮らしに嫌気がさして、友人の姉を頼って高雄に仕事を探しに行く。
どうにか工場での仕事にありつき、間借りの部屋をあてがわれる。同じ風櫃出身で、阿清たちが働く工場の幹部の黄が住むアパートだ。黄は同じ工場で働く小杏と同棲している。
小杏を一目見た阿清は小杏に恋心を抱く。

数ヶ月して、単調な工場での仕事にあきたころ事件が起きる。黄は工場の資材を盗んでいることがバレ、工場をクビになる。
そして、阿清には故郷から父親が死んだという知らせが届く。
父の葬儀から高雄に戻った阿清は、台北に引っ越す小杏が乗ったバスを見送りながら、そろそろ自分の少年時代が終わるんだなと切に感じるのでした。

なんか凄く感情を抑えて淡々と撮られた映画で、細かい部分は観てる人が自分の経験と照らし合わせて勝手に想像(創造?)してね、って感じの映画です。
通りかかった女の子の気を引くために、波しぶき舞う防波堤の上でずぶ濡れになりながらデタラメなダンスを踊ったり、些細なことでケンカをして親友を岸壁から海に突き落としたり、なんか「青春譜」という言葉がぴったりな作品ですね。

若者は日本でも台湾でも鬱屈したもやもやを心の中に宿しているものなのね。 でも、徴兵というタイムリミットがあるから、台湾の少年達は自ずとモラトリアムの時間がスパッと絶ちきられてしまう。人生にメリハリを付けるという意味では徴兵制もそれなりに意味があるのかな。

爽やかさを感じる映画ではないけど、妙に懐かしさを感じる佳作でした。
おしまい。