「GO!」

ぎこちなさを吹き飛ばす!


  

この秋、偶然同じタイトルの日本映画が相次いで公開される。
先に公開されたのは日活の「GO!」だ。来週から東映では「GO」がロードショーされる。どちらも今時の男子高校生が主演。「GO!」は高田宏太郎が「GO」は窪塚洋介がそれぞれ主演している。びっくりマークが付いているかいないかの違いだ。
お話の軽さはまるで違うんだけどね。

で、そぼ降る晩秋の雨の中、観に行ってきたのは「GO!」。びっくりマーク付きの方です。会場は新梅田シティのシネリーブル梅田。今週の金曜日までの上映のせいなのか、冷たい雨のためなのかはわからないけれど、お客さんはボクを含めてたったの4人。すきま風吹く寒さでした。

一言で言うと「ちょっとおバカな、ロードムーヴィー」。

主人公の公平は、なんとも言えない実直さ(?)で、自分が焼いたピザを食べたいという年上の女性に、東京から長崎まで「ピザの宅配」の旅にでかけるのだ。しかもアルバイト先のピザ宅配用の原付スクーターに乗って。

宅配ピザ屋で配達のアルバイトをしている康助は、配達中に女性カメラマンと接触事故を起こしてしまい、彼女のレンズを壊してしまう。
非があるのは康助なのに、康助は素直に彼女に謝ることができなかった。
ちょっとヘラヘラして、物事を正面から捉えない。自分の身に何か降りかかって来ようとしたら、スルリと身をかわしてしまう。そんな最近のちょっと斜に構えた若者から、康助が脱皮する姿を、不器用な彼の行動を通して語っている。
物語の本質は描きふるされた青春モノで、奇抜な設定が目を引く程度だ。

面白かったのは、確かに面白かった。でも、青春モノには滅法甘いボクなんだけど、なんかも一つ乗れなかったな。康助がどうして長崎まで行こうと思い立ったのか、その動機付けがきっちりできてない(現状では康助の玲子への思いは「年上の女性への淡い憧れ」にすぎないよ!)から、彼の行動には驚かされるけど、理解はできないょ。
本来は主題である康助の成長という「泣き」の部分をサラッと流しているのが、この映画のいいところでもあり、弱さでもあるんでしょうけどね。
もう一つ、主人公・康助役、高田宏太郎の芝居がなぁ。ぎこちないを通り越してる部分があるで。確かにルックスはいいんだろうけど...。
そんな細かいこと(?)を気にしないで、バンバン物語は進んでいく(スクーターは西へ走っていく)。その途中にちょろ、ちょろっと影のように忍び寄る「ホットドッグを喰う謎のハーレーオヤジ」山崎努がいい。ほとんどセリフもないんだけど、この人が画面に登場するだけでスクリーンから「臭い」がたちます。

おしまい。