「ロック・スター」

ちょっと小便に行って来る...。


  

アメリカの同時多発テロの余波が日本のスクリーンにも影響を与えている。
「コラテラル・ダメージ」というスタローンだったか、シュワちゃんだったかの主演作が「テロをイメージする」という理由で急遽公開が延期されてしまい、その穴埋めにたった2週間という期間限定で上映が決まったのが、今回ご紹介する「ロック・スター」だ。こんな形での公開はちょっとかわいそうだけどね。

コピー機のセールスマン(ひょっとして、サービスマン?)をしているクリスは、熱狂的なロックファン。人気ナンバーワンのバンド「スティール・ドラゴン」の大ファンなのだ。自らも「スティール・ドラゴン」のコピーバンドを率いている。自分もいつかあんなステージに立つことを夢見て。
その夢がひょんなことからかなってしまう。「スティール・ドラゴン」のヴォーカルとしてメンバーに迎え入れられたのだ。クリスの生活は一夜にして一変する。殺到するマスコミ、グルーピー、金、酒、ドラッグ...。数万人は入る巨大なドームでの公演、目もくらむようなステージで、イジーことクリスは唄い酔いしれる。

ロックスターの世界は、世間の常識とはまるでかけ離れた世界だ。田舎でくすぶっていたときからの恋人兼マネージャーのエミリーとの距離も離れて行くばかりだ。
ふとしたきっかけで現在の自分に「行き詰まり」を感じたクリスは、ある日のステージでかつての自分の姿と重なる若者を見かけ、自分の立場をその若者に譲り、「ちょっと小便に行って来る」という言葉を残してバンドから立ち去るのだ。

ショービジネスで生きるバンドのメンバーは、ファンのためにファンの夢を生きるんだなぁとよく分かります。それにしても、ロックスターはあんな豪邸に住めるんだなぁって妙に感心してしまいました。

恋愛映画の定跡もきっちり押さえてある映画です。ロックにさほど興味のないボクにもちゃんと楽しむことができました。
「夢と現実」「カリスマと自分自身」の狭間を揺れ動き、そして最後には自分の道を選ぶクリスをマーク・ウォルバーグが好演(この人「猿の惑星」に出ていたそうだけど、どの役だったの?※調べてみたら、主演の宇宙飛行士役じゃないか!びっくりした)。エミリー役のジェニファー・アニストンもいいですよ。バンドのマネージャー、マッツがとてもいい味を出しています。
時間が空いている時に「映画でも観ようか」と思ったらご覧下さい。観て損はない作品だと思います。
ボクは公開前日に試写会で拝見しました。

おしまい。