「いちばん美しい夏」

ついつい見逃してしまいそうな


  

いい天気なのに、ちょっと出遅れてしまい、やま歩きは止める。庭仕事もたまっていて、ツバキが手入れを待っているのだけど、これも今日はする気がしない。なんかダラダラしているうちに時間だけが過ぎていく。休日の午前中は時間があっと言う間に過ぎていきます。

複数の人から勧められていたので、今日のダラダラを裁ちきるために心斎橋へ。パラダイスシネマのモーニングショーで公開されている「いちばん美しい夏」を観に行く。ロビーにはかなりの人が並んでいる。結構人気があるのかなと思ったら、この人たちは「クィーンコング」を観る人たちでした。ボクが観る映画は5人も入っていない。ちょっと少なすぎると心配していたら、結局開始時刻には15人ほどになりました。予告編が無くいきなり本編が始まる。

映像が美しい。映像に映し出される日本の自然が美しい。

今時の女の子と80を過ぎてちょっとボケ始めているおばあさんとの心の交流を描いています。

主人公・直美は高校3年生の女の子。勉強よりも遊びが好きだ。髪の毛はもちろん茶髪(ATOKって「ちゃぱつ」が一発変換出来ない!)。夜遊びが過ぎて、親にたしなめられる。そして、夏休みを前にしていろいろな事情が重なって父方の叔母さんが経営する山間の温泉宿へ預けられてしまう。
ひなびた温泉街には「遊び」は何もない。毎日朝から晩まで布団の上げ下ろしや配膳、皿洗い。もうくたくただ。それにこの家にいる従姉妹の由美はちょっと障害を持っていて、由美にまとわりつくし、酒屋の青年との淡い恋にも破れてしまった。こんな経験も直美を変えることなく、彼女はだらだらやる気なさ気に毎日を過ごしている。

そんなある日、遠い親戚の小出さんの家に漬け物とニワトリを受け取りに行った直見はこの家に一人で住む80を過ぎたおばあさんに会う。おばあさんは少しボケ始めている。旅館の叔母さんからはボケ防止のために小出さんと毎日1時間でもいいからお話ししてほしいと頼まれる。
最初は鬱陶しいと思っていた直美だが、小言も言わないし、タバコを吸ってもビールを飲んでも何にも言わない小出さんの家が少しずつ居心地が良くなっていく。そして小出さんそのものに少しずつ興味を持っていく。
人に興味を持つ。その人のことを知りたいと思う。お話しをして、人の話しを聞く。思いやりを持つ。自分が出来ることを探す。そんな当たり前で、些細なことのように思えることを小出さんとの出合いを通して直美は学んでいく。
夏祭りの日、直美は小出さんに着物を着せてもらい、一緒に出掛ける。そして川べりにしゃがんで二人でおしゃべりを楽しむ。ポスターにもなっているこのシーンはほんとに美しいね。

「私たちもう少し年が近ければいいお友達になれたのにね」

名古屋に戻り一人暮らしを始める直美の部屋には、小出さんと直美の想い出のポスターが張られていた。

この作品はイギリス人の監督が撮ったことに驚きました。
押しつけがましい所が無くて、直美が劇的に変わったわけでもないし、名古屋に戻ってからの彼女がどうなるかも描かれていない。でも、ボクにはこれから彼女は変わっていくんだろうなと思わされました。
そんな繊細で示唆が多い映画です。

おしまい。