「ダンス・オブ・ダスト」 |
まるで無声映画のような |
続いてパラダイスシネマでレイトショーで観たのが、これまたイランの映画「ダンス・オブ・ダスト」。お客さんは半分以下に減って20名ほどでした。それでもレイトショーにしたら良く入っている方です。
この映画は、セリフが極端に少ない上に、ナレーションや説明がない。さらに監督の意向で字幕がない。ボクたちは注意深く登場人物の表情を見守ることになる。また、ラジオから流れる音楽が数秒だけ耳に届くことを除けば。効果音や音楽もない。
レンガ製造村。レンガを作るのに適した季節になると、どこからか労働者が集まってきてレンガを作る共同作業が始まる。レンガ用の土と水を混ぜて粘土を作り、それを型にはめて、数日間天日で乾かす。だからレンガに適した季節は雨が降らない乾期なのだろう。乾かしたレンガは巨大な窯で何日かかけて焼き上げるのだ。そんな作業が延々とスケッチされる。 そして別の家族に少年と同じくらいか、それとも少し下の少女がいる。二人は直接言葉を交わすわけではないのだけれど、淡い心の感情が行き来している。このあたりは微笑ましいね。
恐らく何万個という単位であろうレンガが焼き上がった。街からトラックがやって来て、窯からレンガを積み込んで行く。どうやら積み込みが終われば、仕事は一段落するようだ。男たちは汚れきった身体を綺麗にぬぐい近くの商店へ出掛ける。たぶん給料が支払われたのだろう。金でできた装飾具を子供に買ってやったり、食料品や日用品を買って帰る。 別れの季節がやって来た。少女の家族は仕事を求めてまたどこかへ旅立っていくのだ。 おしまい。 |