「キシュ島の物語」

ちょっぴり意味深な(?)プロモーション


  

ここ数日のうちに一気に季節が進んで、すっかり「秋」になりました。もうTシャツ一枚では寒いくらいですね。「暑さ、寒さも彼岸まで」とはよく言ったものです。
これからは、秋本番。ボクも様々な行事が控えていて、忙しい秋を迎えます。
それにしても、この秋はまだフットボールを1試合も見てません。来週のカードもよそへお出かけするため見ることができません。ボクが応援に行くまでギャングが勝ち続けていることを祈ります。

ペルシャ湾がインド洋(アラビア海?)と接する開口部ののど元にあたるのがホルムズ海峡。この海峡の北側に浮かんでいるのが、イランのキシュ島(ちゃんと地図を広げて確認しました)。
今回観たのは、このキシュ島の観光局がプロモーション用に作った短編映画3本です。これらの3本はそれぞれ監督もテーマも登場人物も別々で、唯一の共通点は映画の舞台がキシュ島であることだけ。
3つのストーリー(ストーリーと呼べるのなら)は、特にこれといったものは無く、フィクション映画というよりも、ノンフィクションと言うか、意味不明と言うか...。果たしてこれが観光局が意図したプロモーションフィルムとして意味をなしているかは、ちょっと疑問。でも、青い海と美しい海岸線、そして 抜けるような青空、エキゾチックな人々などなど...。ボクはこのキシュ島へ行ってみたくなったから、ある意味では成功しているのかな。

ボクは1話目の「段ボール」のエピソードよりも、2話目、3話目が良かった。
2話目は「指輪」というエピソードで、イランの北部からキシュ島へ出稼ぎに来た青年のお話し。美しい海岸線にぽつんと取り残されたような何かの設備の保守要員として雇われた彼は、何日かに一度何かを回収に来るトラックを待つ以外は一人きりで何もする事がない。あたりにあるのは、海と道路と街灯、そして彼が住む掘っ建て小屋だけだ。
海に流れ着く漂流物を利用して釣り道具を作り、海岸から魚を釣る。釣り上げた魚は、道行くドライバーの求めに応じて売る。砂浜で美しい貝殻を拾い集める。この貝殻は専門の仲買人が思いだしたように集めに来て、買い取ってくれるのだ。
こうして、いろんな手段で小金を貯める彼の目的がちょっと意外なものだったことがやがて明らかになる。目的が分かってしまうと、それまでの彼の努力がいじらしくて、好感が持てる。でも、そんなものを普通の郵便で送ってだいようばなのか、いらぬ心配をしてしまいます。

3話目は「ドア」。これは少し理解の範疇を超越していて、シュールというか幻想的でさえもあるエピソード。この話しが一番かもしれません。
なにもかも捨てて、ドアを担いで砂漠を歩く男。そして、そのドアに番地が記されているために、この男を捜し求めて郵便を配達する郵便局員。ドアの男の娘が、ドアと共に黒い仔山羊を連れて一緒に砂漠を歩く。砂漠ですれ違うパレードの男たち。そして、意外なラストシーン。全ては意味をなしていないのだけれど、なんとも言えない味わいを醸し出しています。

3話とも、全くまとまりのないエピソードなのですが、どれもが印象深いのも確かです。
但し、もう上映は終了してしまいました。何かの機会があればご覧下さい。ボクはパラダイスシネマで水曜の最終回に観ました。レディースデイだったせいか予想をはるかに上回る70名ほどの入りで、ちょっとびっくりしました。

おしまい。