「ペパーミントキャンディ」

人生は、振り返えることなのか


  

悲しい映画を観た。

どこにでもいそうな40才の男が主人公。男は事業に失敗して、借金を作り、妻子と別れ、絶望の淵にいる。そんな男が20年前に工場で働いていたときの仲間との同窓会へ現れる。会場は20年前にみんなでピクニックへ行った渓谷。渓谷に架かる鉄道の鉄橋に登り、「昔に帰りたい!」と叫んで迫り来る列車を見つめる。
映画は何幕かに別れていて、見ているうちにどうしてこの男が絶望の淵に置かれているのか解るような仕組みになっています。普通の映画なら、過去から現在を辿る形でストーリーが進んでいくんやけど、この作品は、現在から過去へさかのぼりながらこの男の20年間が明らかになっていきます。

誰でも人生のターニングポイントで「ああしとけば良かった」「こうしておけば...」と思うことがありますよね。この男、キム・ヨンホがどういう選択をしてきたのか、その選択がどんなふうに積み重なって今40才の男がいるのか、時の流れがいかに残酷なものなのかが観ている私の心にぐさぐさ突き刺さってきました。
幕は、この同窓会の3日前、5年前、12年前、15年前、19年前そして20年前からなっていて、その時々のヨンホの姿が描かれています。それぞれが人生のターニングポイントだったのはもちろんだけど、同時に韓国という国のターニングポイントであったのだということが判ります。つい最近の金融不安や光州事件、労働闘争、学生運動など。

しかし、悲しい。人生って一体何なのか、どんな意味を持っているのか、考えさせられる映画でした。そう言え ば、私もそろそろキム・ヨンホの年齢に近づいて来てるしね。
韓国では2000年の1月に公開されて、なかなかのヒット。特に普段は映画館にあんまり足を運ばない中年の男性から支持されていたそうです。人生に疲れている人にも、疲れていない人にも是非観ていただきたい映画です。オススメ作品です。

12/22まで、大阪では心斎橋の「シネマ・ドゥ」(三宮では「朝日シネマ」で12/15まで)で公開中です。
シネマ・ドゥには今回初めて行ってきました。ここはカップルにオススメの映画館ですね。2人掛けのシートが並んでいて、いい感じです。ただ、ビデオプロジェクターを使っての上映ですので画像はもうひとつのようです。今回はちょっと赤が勝っていたような気がします。

12/6にお世話になっていたライターの奥野さんが急逝されました。ご冥福をお祈りします。

おしまい。