「顔」

渥美清か藤山直美か


  

藤山直美は、スターだ。
それも、客が呼べて、笑いが取れる一流のスター。

立ち見の出る映画館で映画を観たのは久しぶり。大々的に広告を打ったわけでもなく、劇場は小さいテアトル梅田だけど、普段は映画館に足を運ぶことがあまりなさそうな方々で、客席は一杯。立ち見もどっさりで、館内は熱気ムンムンでした。凄いね。
これは喜劇なのか、ロードムーヴィーなのか、犯罪映画なのか、はたまた人情ものなのか、私には判断がつきかねる映画だったけど、お客さんにとっては藤山直美がスクリーンに映し出されて、顔をみせてくれているだけで、満足なのね。

彼女が圧倒的な存在感を感じさせながら話は進んでいくんだけど、私は映画がはじまって5分くらいにあるシーンが気に入ったのね。直美ちゃんの仕事は、洋服のかけつぎなどのちょっとした洋裁の内職仕事。今かかっているのは、きっと子供服なんだろう(手提げカバンかな)。白地の生地にライオンやキリン、シマウマ、クマさんなんかがかわいくプリントされている。彼女はミシンを踏みながら、ふと空想するんやな。広い緑の丘の上にお弁当を広げて座っている自分を。後ろには、キリンやシマウマやラクダが遊んでいる。とっても楽しそうだ。直美ちゃんもおにぎりをほおばって幸せそう。どんなカットでもなりきって、私たちの前に現れてくれる直美ちゃんって偉いなぁ。

脇役(?)も芸達者で固められており、豊川悦司、岸辺一徳、中村勘九郎、佐藤浩市などなど。みんなエエ味出しています。妹役の牧瀬里穂もいいよ。この人、どんどん庶民的になっていくなぁ。
話のテンポは、なんか「男はつらいよ」みたいで、直美ちゃんがどんどん流れていくんやけど、そこのは必ず人なっつこい「いい人」がいて、直美ちゃんに救いの手をさしのべてくれるんだよなぁ(悪い人もいるけど)。でも、ストーリーそのものは、けっして寅さんのようにほのぼのしたものではなく、牧瀬里穂と豊川悦司は殺されちゃうし、岸辺一徳は首くくっちゃって、死体が三つも出てきます。しかし、決して、暗くてじめっとしたお話にはなっていません。こういう展開に違和感を感じさせないのが、直美ちゃんの芸風のなせる技かな。このシーンは、予告編でもやってたんだけど、お祭りに出るための化粧をし衣装を着た子供が、直美ちゃんを見て。「おばちゃん、さっきテレビ出とった。ピースサインしとった!」と叫ぶシーンも大好きです。

満員のお客さんもさぞかし満足して帰られたことでしょう。好評につき、今週末(8/19)からはテアトル梅田の2館ともこの「顔」がかかります。それやったら関西だけでも、最初から松竹系の大きな映画館で公開すればいいのにね。

お盆休みの間に、すっかり「昼寝癖」がついちゃってねむい・ねむい。

さて、お盆の最後にはたかお宅で「収穫祭」が開催されました。私の失敗でちょっと収穫時期を逃してしまいましたが、それでも甘くて美味しいトウモロコシを食べることが出来ました。枝豆も美味しかったですね。今後の秋冬野菜に期待しています。また、これからもガンバって下さいね。

おしまい。