「あの子を探して」

駆け寄って、抱きしめてあげたい!


  

突然ですが、JR姫路駅のホームにある「立ち喰いソバ」が好きです。

きのう、姫路へ行くチャンスがあり、食べてきた。黄色くて、とてもソバとは思えない麺と、少し脂っこいダシがいいんだな。以前はこの独特のソバしかなかったような気がしたけど、最近では「和そば」と「うどん」もやっている。食券を売る自動販売機には「どうして姫路の駅ソバが黄色いのか」を解説する貼り紙がしてあります。戦後すぐに、政府から小麦粉の放出があり、それを受けてウドンを作ったところ、保存性が良くなかった。そこで、保存性の良いこの麺を作ったところ好評で、現在に至っているそうです。小麦粉に何を混ぜるとこんな黄色い麺になるのかは書いてなかったので、解ったような、解らないような貼り紙だったけど、その時は「なるほど」と思いながら、美味しくいただきました。これから、年内は何度か姫路に足を運ぶことになりそうなので、その度に姫路の「立ち喰いソバ」を食べることになりそうやね。

さてさて、今回観てきたのは「あの子を探して」。会場はガーデンシネマ。水曜はレディース・デイで女性は1,000円。私が良く行く、中国や香港映画の時とは明らかに客層が違い、なんか変な言い方ですが「普通の人」が多かったです(じゃあ、いつもはどんな人が来てんねん!)。入りは70名程度でしたから、いい方ですね。99年の中国とアメリカの合同製作。

見方によっては、中国賞賛の「国策映画」のようにも取れると思うのですが、ここでは、もっと純粋に心暖まる感動作として受けとめたいと思います。都会に出ていった子供を捜して都会に出た13才の代用教員のウエィ先生が、お金も使い果たし、万策尽き、お腹を空かして、とうとう食堂で、誰かが残したラーメン(?)を盗み食いしてしまうシーンや、疲れはてて路上で電柱にもたれて眠りこんでしまい、折角作った尋ね人のポスターが散らばっていき、朝の掃除のおばさんが掃き集めてしまうところでは、熱いモノがこみ上げてしまいました。
「そうそう中国ってこんなところやねん」と膝を打つシーンが随所に散りばめられていて、今の中国の縮図を垣間見ることができます。煉瓦を運んで、迷惑がられながらも手間賃を貰い、みんなでコーラを2本買い、回し飲みするシーンでは微笑んでしまいます。

親の借金のために出稼ぎに行ったホエクーを捜し出して、村へ連れて帰ったところで、借金は無くならないのにどうするんだろうとか、村へ帰るバス代はどうすんねん、なんて先のことはあんまり考えずに、とにかくホエクーを捜し出したい、会いたいという気持ちは痛いほどびんびん伝わってきました。ただ、何がウエィ先生をそこまで動かすのかをもう少し丁寧に描いてくれればもっと素直に感動できたと思います。
チョークに関するエピソードなんかはとても上手に撮ってあったのに。また、ラストももう少し盛り上がって欲しかったな。持っていき方次第では、お客さんの半分は泣かすことが出来たと思います。村へ帰るクルマのなかで、ホエクーには「先生にチョークを買ってあげたい」と言わせて欲しかった。でも、最後に新しいチョークで生徒一人一人が一文字ずつ書いていくシーンはやっぱりジーンとしましたね。あそこはもう少しセリフを少なくして時間も長くして欲しかったけど。学級委員の女の子もしっかりモノを好演していました。放送局の受付の女性もいい味出してたよな。彼女のような、規則ずくめの人って中国には多いのよ。でも、後で叱られるのはちょっとかわいそうな気がします。

中国の陽の当たる場所ばかりではなく、こんな貧しい部分も取り上げた映画が撮れること自体、少しは中国も進歩したなぁって感じですかね。この作品が中国大陸でもヒットしたと言うことですが、それはにわかには信じ難いですね。 観終わって、少しもの足らんという思いながらも爽やかな感じが味わえる映画でした。ガーデンシネマで9月上旬まで公開中です。心斎橋のシネマ・ドゥでもやってます。

次回は、藤山直美の「顔」(テアトル梅田)を観てきます。

おしまい。