「差出人のない手紙」

メキシコは今日も雨


  

このとこころ、毎週末に天気がぐずついて嫌な感じですね。皆さん梅雨空にも負けず、お元気にお過ごしでしょうか?

今回は95年のメキシコ映画「差出人のない手紙」を観てきました。会場は九条のシネヌーヴォ。平日ということもあって、13名の入り。シネヌーヴォとしてはこんなもんでしょうか。

この世になんの楽しみもも見いだせなくなり、淋しく日々を過ごしている独り暮らしの老人。彼が、もうとうの昔に置いてきてしまった「恋」に突然触発されて、心踊らされて、最後には「偽り」と知りながら、その恋にすがりついて最後には命さえ落としてしまう。なんか、少し哀愁を感じさせる、もの悲しい物語です。
大切にしていたものをなくしてしまう。最初は必死になって探していたんだけど、そのうちあきらめてしまい、今では、何かの拍子にふと想い出す程度だ。それがどうしたことか、何十年もたってから向こうから手を振ってやってくる。嬉しいよね。今度は絶対に手放すまいとぎゅっと掌の中に握る。その上、頑固な老人になってしまっている。他人の言うことなんかに耳は貸さない。

この映画は、スカッとしたり、涙ぐんだりする作品では決してない。でも、年老いてから恋いに狂うアンドレスをあざけ笑うものでもなく、結局、幾つになってもヒトは、何かにすがりつかないと生きていけない弱い動物なんだ、と観客に伝えたい映画なんとちゃうかなと思いました(それとも、一度手に入れた「幸せ」は手放してはけないよ、と教えてくれたのでしょうか?)。
舞台は、メキシコ。もちろんメキシコには行ったことはないけど、土砂降りのなかをダンディな姿で、でかい蝙蝠傘をさすアンドレイ翁のように歩いてみたいなと思いました。

次回は、韓国の映画「クワイエット・ファミリー」を観に行く予定です。でも、早くしないとアル・パチーノの「エニーギブンサンデー」も終わっちゃうよ!

おしまい。