「追憶の上海」

レスリー・チャンがかっこいいだけ


  

五月だったら、五月らしくすっきり晴れ上がって欲しいものですが、どうもすっきりしない天気が続きます。少し気温も低目で、ぐずぐずしますよね。みなさんお元気ですか?

さて、今回は「追憶の上海」(原題:紅色恋人 /A TIME TO REMEMBER)。99年の作品。前回の「玻璃の城」のレオン・ライ〈黎明〉に続いて、レスリー・チャン〈張国栄〉が主演の映画です。会場は例によって、九条のシネ・ヌーヴォ。レイトショーだったのに20数名の入りで、ここにしては「大入り」ですね。

舞台は1930年代後半の上海。租界の病院に勤める若い米国人医師・ペインの自宅に、若く美しい中国人女性が「主人が急病なので診て欲しい」と訪ねてくるのね。この女性はチゥチゥ。主人は当時、非合法組織とされていた中国共産党の幹部ジン。二人は本当の夫婦ではなく、政府の目を欺くための「偽」の夫婦。ジンが以前負った銃創が原因で、テンカンの発作を起こしていたのだ。この二人を主人公にしたメロドラマを外国人であるペインの口から語らせるという映画です。
しかし、ベースに流れているのは、二人の悲恋ではなく、中国共産党の讃歌。今の中国は、こんな迫害や苦難の歴史を乗り越えて出来上がったんだ。志半ばに倒れていったジンや、革命のためなら親さえ殺すチゥチゥのような無名の共産党員がいたからこそ、今の繁栄があるのですよ、という臭いがプンプンだ。レスリーが主演なのによく見ると、北京製作の映画なのね。これじゃ、国策映画だ。この映画、台湾では受けなかっただろうなぁ。
クンドゥンなどで、一方的に中国が悪く扱われているのも、カチンとくるけれど、これだけ中国を「よいっしょ」した映画を観せられても、どうもねぇ...。

租界時代の美しいセットと建物の内装。そしてレスリーのカッコよさだけが取り柄の映画でした。レスリーがお好きな方は是非ご覧下さい。レスリーが蒸気機関車の倉庫で演説をぶつシーンなんかはほんとにかっこええよ。チゥチゥ役のメイ・ティンもいかにも中国の方って感じで、なかなか好。彼女の衣装がまたいいんだなぁ。観終わって思ったのは、もし、中国で共産党による革命が成功しなかったら、いったいどうなっていたんだろうってことですね。

「追憶の上海」は今日(5/19・金)まで上記シネ・ヌーヴォでレイトショー公開中。なので、これを読んでいる皆さんは観ることはできないですね。
※前回ご紹介した「玻璃の城」を19日までと書いたのは、私の勘違いでした。ごめんなさい。梅田・ガーデンシネマで26日(金)まで公開中です。いい映画なので、お時間のある方はぜひ足を運んでみて下さい。

さて、「山と高原地図・比良山系」を購入。今度は六甲や北摂を飛び出して滋賀県へ足を伸ばしてみようと計画中です(でも、実行は秋になってからかもしれないなぁ)。

おしまい。