村上龍という作家の本を読む「半島を出よ」。
今、どこの書店さんへ行っても目立つ場所にドカンと置いてある。各種のベストセラーランキングでも上位に位置している。上下巻組で、ツカも結構ある大枚の小説。
「やられた!」という思いで読み始め、最後は何だか「逃げられた」という思い。
ボクにとって、村上龍はちょっと食わず嫌いなところがあり、ちゃんと読んだのは今回が初めてなのかもしれない。何に驚くかとい言って「着想の良さと取材力」。この二つは「凄い」正直に脱帽します。
平和ボケしている日本人と何も決められなくその場限りの対応しか出来ない日本の政治家。それがくっきりと描かれている。
冗談や小説の中の出来事なのではなく、ひょっとしたらそう遠くない将来(ひょっとしたら明日にでも?)、この小説で書かれていることがあるかもしれない。そうなったら、実際に日本は手も足も出ない。それどころか、そのままのことが展開されるのではないか。ぞっとする。
惜しいのは、ラストちょっと“書き急いだ”のかもしれない。
何人かの視線で語り継がれるのだけれど、魅力的な“語り部”が 途中でどんどん打ち捨てられている。
それがもったいない。最後には「あぁそうやったんか」というまとまりが欲しかったような気がします。
この本の分厚さに、普段本を読み慣れていない人は敬遠してしまうかもしれないけれど、読み始めたら止まらない面白さがあるのは確実。最初の取っ付きは「何だかなぁ」って感じですが、上巻の1/3を過ぎたあたりからもう手が止まらなくなります。
オススメ!
おしまい。
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