「幻獣ムベンベを追え」

高野秀行 集英社文庫 514円


  

ふと手に取りそのまま買った。
タイトルがいい。思わず買わせる、そんなタイトルだ。

早稲田大学の探検部の若者たちが中央アフリカのコンゴへ行き、ジャングルの奥地にあるテレ湖に住むという怪獣を見つけに行くお話しだ。

ふとしたきっかけでこの未知の怪獣「コンゴ・ドラゴン」(別称モケーレ・ムベンベ)の存在を知った筆者は、とにかくコンゴへ旅立つ。文献にあたり、調査と下準備をして日本へ一度戻る。
筆者の行動力と交渉力そして語学学習能力には驚かされる。たいしたもんだよ。本人はこのへんをしごくあっさりとしか記していないが、この下準備編だけでも面白い一冊の紀行文が出来るほどの体験をしていると思う。

そして再び探検部のメンバー9人+2人を引き連れてテレ湖に戻り、40日間の探索活動を行うのだ。

難しい学術調査の報告書ではない。アフリカに探検しに行った学生達の旅日記みたいなものだ。
いったい何がここまでこの学生達を惹き付けたのかはちょっとわからない。でも金と時間を費やして、いるのかいないのかわからない「ムベンベ」を探しに行く。
そんな単純で無茶な彼らの姿をバカにしようとは思わない。

日本の若者もまだまだ捨てたもんじゃないな。拍手!