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帰り道、湖畔の道路から見返す錫杖ケ岳 |
ゴールデンウィークに歩こうと企んでいたものの、いろんな理由で延び延びになっていた三重県津市(旧・安濃町)にある錫杖ケ岳(しゃくじょうがたけ・676m)。
新しい登山靴の試運転も兼ねて、ようやく歩いてきました。「すずつえがたけ」と読むのかと思っていたのですが、いろいろ調べてみると、どうやら「しゃくじょうがたけ」。地名は難しいね。
webで検索してみると“高度はさほどではないものの、独立峰に近く、歩き応えがある”という感じの記述が多い。期待を胸を膨らませ、目覚ましを2時半にセットして早々に寝床に入る。目覚ましを鳴らすのは実に久し振り。
武庫川ランプから阪神高速に入り、松原線から西名阪〜名阪国道を経て関ランプで降りる。その後南へ向かう。でも、ここからは道がかなりややこしいので、説明できません(スイマセン)。ただ、錫杖湖という表示に従ってクルマを走らして行けば、関ランプから15〜20分ほどで湖畔に着きます。
湖に沿って幾つかトンネルをくぐれば、登山道まで800メートルという表示が現れ、川を渡る橋(クルマが通れる)の10mほど先の路肩に10台ほど停められるスペースがあります。
ここが今日のスタート地点。西宮の自宅から湖畔まではおよそ2時間と、予想よりおよそ30分ほど早く到着。でも、この付近に着いてからこのスペースを見つけるのに手間取ってしまい、20分ほどロスしてしまったけどね。
新しい靴なのに、時間がなくて中敷は以前のものを流用。きゅっきゅっとリースを締め上げるのは気持ちがいい! でも、全体にちょっと硬くて、歩く足が自分の足ではないような気がしました。
これは、もう少し馴れれば解消してくれるでしょう(きっと)。
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東コースの登山口 数字が「1」です |
コース脇の草むらには 「ヘビイチゴ」のかわいい姿 |
立派な登山口。ここは「Aコース(東コース)」の入口。ここが1番で山頂の10番まで、ルート上に番号がふってある。決して長くないコースだけど、この番号が格好の目印となり、楽しく(?)歩くことができますね。
よく踏まれているというか、造成された林道を沢に沿って数百メートル、沢と別れを告げるとすっかり山の中のコース。ここは植生の森で、薄暗くて野趣に富まないのが残念ですが、とにかく静かなコースであることは間違いありません。耳に届くのは野鳥のさえずりばかり。
コース途中、一部は流されている箇所もありますが、おおむねよく整備されており、苦しいのは別にして、よっぽどのことがないとコースを失う心配はまずないので安心。
短時間のうちに高度を稼ぐのが錫杖ケ岳の特徴。すなわち急登の連続なのだ。
這うようなとは言わないけど、結構な角度で登る。息をつくヒマもないほど。ほうほうの体で、番号を辿りながら歩いていく。苦しい息を吐きながら、途中の立ち木の幹にくくりつけられている標識の数字が増えていくのだけが楽しみ。
8番の手前でようやく主稜線へ出た。木で出来たベンチとテーブルが目に入る。ここまででおよそ45分。全身汗まみれで、顔にはぬぐってもぬぐっても大粒の汗が流れる。ここで一息入れたいけれど、止まってしまったらもうこれ以上歩くのがイヤになってしまうかもしれない。番号の下にはマジックの走り書きで「山頂まで30分」。そりゃないやろ...。残りが二つしかないのに、まだ30分もあるの?
で、ふとコースの先に視線を上げると。まだまだ急登。
普通、稜線に出れば、楽しい尾根筋歩きが続いていそうなものだけど...。まだここから木で組まれた階段を歩かされるのか...。左手は植生、右手には自然林が。えっちらおっちら歩みを進めるしかない。ザックを降ろしてペットボトルやタオルを出す間も惜しい。ここは忍の一字で耐えるしかない。
それでもこの急坂を越すと、心もち角度が緩やかになる。稜線に出たから遮るものがなく、吹き抜ける風が気持ちいい。そして、右手に立派なツバキの群生、初冬から春先にかけては見事な花が咲いていたかもしれないな...。
そうこうすると立派な東屋が目に入ってくる。ここまで来たらもう一息。東屋を左手に見て右に急カーブを取り急角度の狭い道を駆け上がると...。ようやく、岩礁で出来た山頂に到着。全身汗まみれで、特にジャージのズボンがそれを吸って重たくなってる。悪い汗を全部身体中から出し切って、足の重さも、慣れない靴の痛さも、何もかも忘れて一番高い岩のテッペンへ!
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山頂は岩礁になっている もう汗びっしょり |
う〜、朝一番なのにうっすら霞んだような空なのが残念だ。
どかん、と腰を落としてザックも降ろす。半分凍らせて持ってきたペットボトルの水がまだ冷たい。ごくごくとノドを潤す。水ってこんなに美味しかったんや!
さすがにここは伊勢の国。初めて足を踏み入れただけに、見渡す風景はどこがどことは同定できないのが、ちびっと残念。わずかに判るのは、眼下に見える錫杖湖(ダム湖)。今日のスタート地点。
しばし放心状態。700mにも満たない低山だとは舐めてはいけない。スタート地点から山頂まで、本当に息が抜けない。途中まで植生の森で薄暗いのだけが残念だけど、静かで歩きがいのあるいいコースです。
帰りは主稜線上にあるテーブルとベンチまで戻り、そこから「Bコース(西コース)」を下る。上りもきつかったけど、下りもきつい。それでも一気に降下していく。
途中、ようやく上がってくる人と出会う。
「早いね、あの神戸ナンバーの人?」と声を掛けられる。「下にシライトソウが咲いてますょ」と教えていただく。ありがとうございます。
「あヽ、きっと東コースの途中で一輪だけ咲いていた、あの花やな」と見当をつける。上りの最中で、綺麗な花だとは思ったけれど、ザックを降ろしてカメラを取り出す余裕はなかったのだ。果たしてその通りだった。東コースでは一株だけだったけれど、西コースでは10株ほどの群生。
でも、何故かその名前が思い出せない。その名前を耳にして、瞬時に花が頭に浮かんだのだから、そのままの名前やったのになぁ。中年性アルツ入ってます...。
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まるで蝶が舞っているようです |
まるで煙突掃除のブラシ? シライトソウ |
転がるようにとは言わないまでも急降下、下の車道を行くクルマのエンジン音が聞こえたと思ったら、いきなりお寺の脇に出た。今日はココまで。
クルマにたどりついて、新しい靴のリースをほどいていたら、もう一台クルマがやってきた。早朝からそこそこ人気があるんだな。
新しい靴は確かにちょっと硬め。普通クツズレはかかとにできるものだけど、この日のボクはリースを締め上げすぎていたみたいで、なんと脛の下のほうにクツズレを作ってしまいました。う〜、たいしたキズではないのに、これがなんだか痛い!
確かに歩き応えがあるコースと言えます。しんどいですが、難しいところはありません。ただ、ごく一部ロープが渡されている箇所があるのと、上り下りが急なので手袋があれば重宝するかもしれません(ボクは使いました)。滑落と落石には注意して下さいね。
おつかれさまでした!
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