「涙女」

29/Mar./2004

  

久々にテアトル梅田にやって来て観ましたのは「涙女」。原題「哭泣的女人」2002年、カナダ・フランス・韓国の映画。
葬式の場で、故人を想って“哭く”という事を専門する仕事は中国だけに限らず、韓国や日本などのアジアの他にもヨーロッパやアフリカあったらしい。
“哭く”というのは文字通り、声高々に泣く慟哭を意味する。

主人公の女性グイは北京の下町に住んでいたが、夫は仕事もせず毎日麻雀三昧。彼女は路上で怪しげなCDを売っては生計を立てているが、警察に見つかって商品は押収される、商売道具(?)に借りた子供の母親に逃げられるという散々な目に遭う。さらには、旦那が喧嘩で相手に重傷を負わせ刑務所にブチ込まれ、相手からは破格の治療費まで請求されてしまう。

途方にくれるグイは押しつけられた子供を連れて故郷へ帰る。しかし、治療費の取立てはここまで追ってきた。そんな大金を払うアテも無い彼女はとうとうその場しのぎに声高々とウソ泣きを始めた...。

こうして、グイは自分の“哭く”才能に気付き、彼女は“泣き女”の仕事を始める。最初はなかなかうまくいかなかったけれど、やがて彼女はグングン実力(?)を発揮して、街でも評判の“泣き女”となり、仕事も入るようになる。そして、そこそこの収入を得ることになる(何しろ元手はタダなんだから!)。

なんと“哭き”には、“傾盆大雨”とか“山崩地裂”とかランクがあってそれによって支払われる金額も違うとは、なかなか面白い。中国の100元ってどのくらいの金額なんだろう? 為替レートではなく庶民か感覚感覚で1万円くらいかな? (※ちなみに現在の為替レートだと、100RMB≒1,300円)
葬式なら数万円払って専門家に泣いてもらうというのもわかるけど、しかし映画を観る限りでは“哭く”っていうのがどうも喚いて踊っているようにしか見えないよ。いや、これが伝統なのかなぁ。

イマイチ“哭く”ことのリアリティというか、スケールが分かりにくかったのが残念。しかし最後で彼女が本当に泣くシーンはなかなかの見せ場になっていて、これは思わず涙が溢れてきます。
したたかで強い女グイの生き様に、それまで第三者的な視線でずっと見てきて、これといった共感を呼ぶエピソードも無かったのに、最後でホロリと泣ける。終わり良ければすべて良し、ですね。

興味があったらご覧になってもいいかもしれません。
しかし中国って葬式でもみんなひたすら麻雀してるんだなぁ。
次回は「キラーウルフ/白髪魔女伝」をご報告します。