「二重スパイ」

01/Jul./2003

  

また天六のホクテンザにやって来て観ましたのは「二重スパイ」。今年、韓国で公開された映画です。この日はホクテンザでの上映最終日。おまけに時間も夜20:00からの回とあって、いつものように観客はいないのかと思っていたら意外や意外、若い人達がちらほら10人くらいいました。これも韓国映画+ハン・ソッキュ主演の人気なのか?

お話しは朝鮮の南北問題を題材にしたお得意モノ。舞台は1980年代、東ベルリンから西ベルリンへ亡命したのが北朝鮮のスパイ、ハン・ソッキュが主人公。
しかし、実はそれは偽りで、彼は二重スパイとして韓国側に潜入する為に亡命したのだ。亡命の真偽を問われる拷問にも耐え、ハン・ソッキュは徐々に韓国側から信頼を得ていく。
と、お話はそんなハン・ソッキュのスパイ活動と、同じく南側に潜伏している北側工作員コ・ソヨンとの出会いと話は進んでいくわけですが、これがどうもなぁ...。
なんだかストーリは辛気臭く進んで、全然盛り上りに欠ける。切ないラヴ・ストーリを描きたかったのか、北と南のリアルなサスペンスを描きたかったのか、どっちともにしろ中途半端な話だ。
「北でも南でも無い、自由を」というのが主人公たちの気持ちのはずだったかと思うが、全然気持ちが伝わってこない。気持ちが伝わらないから映画に入り込めず、ただ傍観していただけになってしまった。

それとコ・ソヨンがどうもなぁ。「エンジェル・スノー」ではやたらヒステリックで腹が立つ女性だったのに比べるとまだいいんだけど、今回は逆に全然感情が無くて無表情が多い。そりゃスパイだからってといっても、彼女はそんなにスパイらしい活動をしていたかなぁ。夜中、山奥に武器取にいったのと(ちょっと安直すぎるんじゃない?)、ラジオのDJで暗号喋っていただけだったような...。それにいつの間にハン・ソッキュとの間に愛情が芽生えていたんだろう。そんな素振りも気付かなかった、ハン・ソッキュの方もね(また寝てたんだけどね)。

なんだか不可解なまま終わってしまったような話、もうちょっとドラマチックにしてほしかったかなぁ。全然記憶に残らなかったです。巷では久々の大作韓国映画とハン・ソッキュ主演にわりかし宣伝されていたように思いますが、これだと期待して観に来る客はやっぱり全然満足できずに帰っていくんだろうなぁ。

次回は「黄龍/イエロードラゴン」、天六ユウラク座にて舞台挨拶付きです。 ではまたサイナラ