「花の影」

26/Jun./2003

  

今回のレスリー・チャン追悼上映特集は千里セルシーシアターにて「花の影」(96年香港、原題:風月)。
セルシーは実に久しぶり、劇場外の通路に並ばなければならないのは相変らずですが、早めに行った割りにはそんなに人は多くなかったかな。今回も「覇王別姫」に続いてチェン・カイコー監督作品、おまけにコン・リーも出ています。

さて、レスリーの役はジゴロ。上海で女を騙しては金を巻き上げる男、というより組織的になっていて、騙すというより脅すかな。レスリーが女をのぼせ上がらせておいて、後でドカドカと現場に踏み込んできた二人の男が女に「浮気をバラすぞ!」と女を脅す。女はレスリーにすがるけど、彼は知らんぷり。そうやって罠にはめて女から金を巻き上げるのだ。
そうやって女を騙してきたレスリーが、初めて本当に人を愛してしまう。その相手がコン・リー。しかしそこに、今まで女性を愛せなかったレスリーに悲劇がうまれてしまうのだ。

と、こうやって書くと、なんだか悲愛ドラマのように思われるでしょうが、実はそうでもない。いったいどんなお話しなのかは、実際映画を観ていただくしかないですね。
舞台は1910年代の幼少時代と1920年代の成長して大人になった時代の二つのパートに別れている。
映画は幼少時代から始まる、場所は蘇州。富豪の名家の一人娘がコン・リー(子供)で、レスリー(子供)は姉がその家に嫁いでいたことから使用人として仕えている。しかしやがてその家を逃げ出したレスリーは上海へ渡り、そこで黒社会の組織に拾われた。
成長しジゴロとなったレスリーはふたたび故郷の蘇州へ帰ってくる、その時同じく成長したコン・リーに再会するという感じ。そうやって過去の因縁が現代の伏線になっているわけですね。

レスリーは相変わらずのクールで二枚目の役どころ。今回なんだか学生服みたいなチャイナ服を着ていました。上海ではイマイチパッとしてなかったのが残念かな。
コン・リーはいつものように口がぽっかり開いた、口あんぐり演技が炸裂。この人けっして美人とは思えないんだけど、観る角度によっては魅力的なんだなぁ。でもまた他の角度ではやっぱりコン・リーなんだけどね。
他にも「小さな中国のお針子」のお針子ジョウ・シュンが踊り子で出演していたみたいなんだけど、どこにいたんでしょうか? 今回もまた途中で寝てしまったしなぁ。

レスリー作品を観るならこれも観ておく作品でしょう。
「覇王別姫」では恋敵だったレスリーとコン・リーの愛情劇ですしね。

次回はハン・ソッキュ主演、韓国映画「二重スパイ」をご報告します。