うた魂(たま)♪

川でも遡る?



  

少し前、東京に居た週末。例によってぴあを見ていると「うた魂(たま)♪」の公開初日。渋谷の映画館で主演の夏帆をはじめとする出演者の舞台挨拶があると書かれている。う〜む、夏帆ちゃんは昨夏「天然コケッコー」という不思議なお話しに主演していた不思議な女の子で、ちびっと気になっていた。(舞台挨拶に)行ってもいいかなぁと思っていたけど、ネットで調べてみると、既にチケットは完売だと告知されていました(残念!)。

で、さして話題とならないまま続々と上映が終る中、ようやくシネ・リーブル神戸で拝見しました。
悪いお話しではないし、なかなか感動できる青春学園もの。でも、一番残念だったのが 、かすみ(夏帆)が歌うことが大好きな自意識過剰な女の子であることをもう少し上手く表現して欲しかったということ(冒頭にそういうシーンもあるんだけど、あれではちょっと伝わらない)。彼女の自分への感情が台詞でしか表現されておらず、もう少し周囲の評価も含めてエピソードで現して欲しかった。なんだか、かすみのことを悪く表現することを、女優夏帆を傷つけるのと同列に並べて“恐れて”いたような気がしました。まっ、それはボクがそんな目で見てたからかな?
もう一つ、「フニクラ事件」って、説明されても、それがどうして事件と捉えられ、そして何年にもわたって仕返しを受けなければならないことなのか『全く理解できませ〜ん』でした。

それでも、少し前に拝見した「ブラブラバンバン」と較べると、こっちは青春ものの王道とも言えるツボをしっかり押さえていて、観ているこちらも素直に感動して喜べる。やっぱり青春ものはこうじゃなくっちゃね。
しかし、合唱で歌われる曲の数々、そのほとんどが、ボクにとっては知らない曲ばっかりなのが残念というか悔しいというか、おっさんやねんなぁ...。尾崎豊って、微妙に年代がズレていて、ほとんど知らない...。これではノスタルジィには浸れないょ。

高校に通うかすみは、歌うことが大好きだし、自分はかわいくてモテモテだと思っている。かすみの高校は全国大会の常連校、今年も出場を目指し練習に余念が無い。そんなある日、思いを寄せている牧村(石黒英雄)から、かすみが歌っている顔が「シャケの産卵みたいでユーモラス」と言われ、激しくショックを受け、一気に合唱への情熱を失う...。
かすみは大会を前にして退部を決意する。産休代用教員の瀬沼先生(薬師丸ひろ子)にその思いを告げるものの、引き止められるどころか「それがいいかもね...」とあっさり認められていしまう。そして、最後のステージの市民文化祭に出かけたかすみは...。

自信満々のかすみが、ひょんなことで傷付き挫折する。そして、全く妙な事の成り行きで、合唱の本当の楽しさを気付かされ、立ち直る。その中で友情の軋轢を乗り越えながら成長する。そして、いよいよコンクール本番を迎える。
ただそれだけのお話しなんだけれど、バス通学、放課後の屋上、告白、朝礼、産休の先生、悪がきばっかりの私学、ライバル、温室、浜辺の海岸、漁港...。これでもかってばかりに青春学園もののお約束キーワードが散りばめられ、巡りめく青春模様にボクの心はお腹一杯になってしまいます。
夏帆はまだまだ成長途上。主役を張るには時期尚早を思わせる演技力。高校生には全く見えないゴリ(この人のことは全く知らないけど)はなかなかいい味を出してました。夏帆を支える二人の親友は芸達者で脇を占めてくれていますね。
ライバルの女生徒は、若き日のコンヒョジンに似ていたし、悪ガキどもの中にもユヘジンに似ている人がいたような気がするし、ピアノ伴奏の男の子も(サングラスをしている時は)イジュンギにそっくり(外すと全く違ったけど)。う〜む、こりゃ禁断症状出てるかな?

散々なことを書いたけど、かすみが立ち直ってもう一度合唱に取組む姿には素直に感動しました。スクリーンを見ながら、夏帆に似ているうちの若いのに姿をダブらせ、彼女にもこうやって壁を乗り越えてもらいたいと思ったのは、ちびっと考えすぎなんでしょうかね。
まずまずのおすすめ。楽しいです、はい。

おしまい。