ベルベット・レイン

ガツンと来た!



  

このところすっかり感度が鈍っていて、こんな作品が作られていたことも、日本で上映されることも全然知らなかった。アカンなぁ。なのに、この映画にはガツンとやられました。久しぶりに心を激しく揺さぶられました。骨太で見応えがある作品です。
紹介するのが遅れてしまって、既に上映は終わっているけれど、是非大きなスクリーンでご覧いただきたかった映画です。

アンディ・ラウとジャッキー・チュンが主演。そこにショーン・ユウとエディソン・チャンという売り出し中の若手二人が絡んでくる。ストーリーそのものはひょっとしたら「な〜んだ」と思われてしまうかもしれないけれど、観終ってから深い印象が尾を引くこと間違いナシです。
「そうか、そうやったんや!」ってね。
ストーリーよりもテイストがいい。俳優たちもかっこいいしね。正統派の香港映画を観た気分。おっさんになったボクが憧れてしまうほどなんですから...。

ある黒社会の組織の頂点に立つ二人。 アンディ・ラウには初めての子供が生まれるその晩の物語り。

いやいや、ここでこの物語りを語るのは無粋というものかもしれない。
今と未来(過去?)が行ったり来たりしながら、お互いの接点がない。そのままストーリーはクライマックスに達する。
その仕掛けの上手さに、観ているボクは舌を巻く。

時間軸の使い方が、ちょっと「インファナル・アフェア」を意識しているかな。でも、それも上手いと思ってしまう。
エリック・ツァンがもったいないような役で出演しているしね。
そう言えば、ニコラス・ツェーやダニエル・ウーそれにイーキン・チェンなどの今や中堅とも言うべき若手(?)が伸び悩んでいる(日本に紹介されていないだけなのかもしれないけど)だけに、ここで見応えのある演技を披露してくれているショーン・ユウとエディソン・チャンの二人には今後に期待できそうです。この二人にジョイ・チョウを加えた3人は後ほど別の作品で...。
いつまでも、アンディ・ラウ、トニー・レオン、レオン・ライの三人におんぶにだっこでは香港映画には未来はないでしょう(そういえばアーロン・クォックはここんとこ観てないけど元気にしているのかな?)。

このところ、日本にやってくる香港の映画の数が減って淋しい思いをしてたけれど、この「ベルベット・レイン」を観ると、まだまだ香港映画も捨てたもんじゃないなと思える。
お客さんを楽しませてくれるサービス精神が旺盛な佳作が日本で上映されないまま、忘れられてしまうのだとすれば、それはそれで淋しいものです。上映されるスクリーン数など、もう少し規模が小さくてもいいからどんどん公開してもらいたいな。
しかしもしそうなったら、ボクは韓国映画も香港映画も観逃せないから、身体と時間が幾つあっても足りないか。

物語りの詳しい紹介はしませんが、チャンスがあれば是非! 自信を持ってオススメです。「インファナル〜」で香港映画に興味を持たれた方などには、特に併せてご覧いただきたいです。
なお、蛇足ですが、この映画に出ているジャッキー・チュンはジャッキー・チェンとは何の関係もない人ですが、香港ではちゃんとトップスターなんですよ、それにこの人歌手としても大成功していて、無茶苦茶歌が上手いです。漢字では張学友。中華圏へお越しの際にはお土産に、騙されたと思ってCDを買ってはいかがでしょう? 香港の明星って、芝居だけではなく歌も上手い人が多いですよね。このジャッキー・チュンの他にもサミー・チェンもオススメ、もっとも彼女はもともとが歌手なんですけどね...。そうそうジジ・レゥオンもいい曲歌っているので、是非どうぞ!
最後は映画と関係がないお話しになってしまって、ごめんなさい。

おしまい。