浮気な家族

ムンソリがすっかり大女優の風格


  

この映画はムンソリに尽きる。
彼女にはすっかり大女優の風格が備わってきた(ような気がする)。どんどん芝居も上手くなっているしね。ボクは「オアシス」で初めて知った女優さんだけど、どんなキャリアの人なんだろう? 
ちょっと気になります。なんだかボケ役もこなしてしまいそうな、奥行きを感じます。これからも大いに期待していますョ!

正直言って、この映画、お話しそのものはどうでもいいようなもので、ボクには何が言いたいのか伝えたいのかよくわからなかった。
それほど中身は空っぽで、見るべき内容があったとは思えなかった。まるで他人の家の中をノゾキ見しているような悪趣味な感じ。

この一家。お父さんは敏腕弁護士で、お母さんはダンス教室のアシスタント(?)、息子は小学校の低学年。郊外の一戸建てに住んでいる。外から見れば何不自由ない恵まれた幸せな家庭そのもの。
ところが、一歩その家庭の中に入ってみれば、夫婦の関係は冷え切ってお互いに浮気はしているし、子供には「あなたは養子なのよ」と宣言している。お父さんの両親もちょっと変わってる。

結局、家庭というのは外から見ただけではわからないもの。
家庭とはある意味、契約やその合意の上で成り立っているもので、それを破棄して個人の欲望のままに生きる道を選んでしまえば、実にカンタンに崩壊してしまう、そんなことを言いたかったのかなぁ。

サイドストーリーもそうも冴えなくて、お父さんの浮気も、ムンソリの高校生相手のアバンチュール(?)ももうひとつ盛り上がらないし、朝鮮戦争時の遺骨(?)を発掘するお話しも意味不明。郵便配達のおっちゃんのストーリーもどうもなぁ。
ムンソリの相手を務める高校生、発掘現場のリーダー、郵便配達のおっちゃん、養子の子供、そしてお父さんの両親。いずれも他の作品でも見たことがあるような芸達者な役者さんが揃っている。それだけにストーリーの展開の弱さが目に付いてしまう。実に退屈な映画になっている。

唯一面白かったのは、場末の映画館のシーンかな。
「他の時にタダで入れてやるから、勘弁してよ」と言う映写技師が頼み込むのは、さすがケンチャナなお国柄。日本の映画館でもこんなシーンがあるのかな?

ボクが拝見したのは随分前(ちょっとご報告が遅くなってしまいました)。この日のシネフェスタはそこそこの入りで30名ほど入っていたでしょうか。昨今の“韓流”はさすがですね。
オススメではありませんが、ムンソリがお好きな方にはいいかもしれません。もっとも、大阪での上映は終了しています。

おしまい。