「えびボクサー」

実は人情噺だったのね


  

お盆休みが終わってから猛烈な残暑が続いている。その勢いは九月に入っても収まるところを知らず、連日の35度オーバーで、熱帯夜も当たり前という状態。ほとほとイヤになってくる。
この残暑の影響をモロに受けているのが、この「偽ジェ」。家に帰ってもあまりの暑さにキーボードに向かう気はさっぱり起こらず、そうこうしているうちにチューハイの酔いが回って寝てしまう。お陰で全く配信・更新出来ずにいる。あかんなぁ...。

で、今回ようやくご紹介する「えびボクサー」。二週間も前に渋谷で観てきました。この晩は久々の東京。夜の9時まで所用があり、それを終えてからの出動。当然、レイトショー。シネセゾン渋谷ではレイトのみの上映だけどね。珍しいことに釣師さんと一緒に観る。
大阪では翌23日からの公開だけど、東京では公開されて数週間は過ぎているはず。なのに、暗くなってから飛び込んだ場内は八割方は埋まっていた。金曜とは言え、驚いた。「えびボクサー」恐るべし!

お話しそのものは荒唐無稽を地で行くようなもん。もう少しヒネリが欲しいほど。設定そのものがハチャメチャなのに、映画がそうなっていないのはハリウッド映画ではなく英国映画だからだろうか? これがハリウッドの映画ならもっと違った方向へぶっ飛んでいたような気がする。

イギリスの片田舎でパブのおやじに納まっているおっさんが主人公。自信が将来を嘱望されていたアマチュアボクサーだったが、花開くことなく今はこうして、酔い客を相手にする商売。少しは見込みがありそうな息子はボクシングより女の子に興味があるようだ...。
そんなある日の晩、彼の前に怪しげな男が現われビデオを手渡す。「このビデオに写っているものこそ、この俺の永年の夢を叶えてくれるに違いない!」 そう直感したパブのおっさんは全財産を投げ打って夢を手に入れようとするのだが...。

造りは間違いなくB級映画。
きわもののように見せかけておいて、実は人情噺だったりする。
語り口も、挿入されるエピソードもどちらかと言えばオーソドックス。しかも、エンディングには何とも言えないハッピーエンド(?)が用意されているではないか!
あれだけ、ポスターや予告編で「煽って」おきながら、ここまで正面切って「肩透かし」を喰らわせるなんて思っていなかったなぁ。かと言ってそれがまんざら不満でもない。

決してヘンな映画だったり、悪い映画ではないけれど、どうも予想や想像とは明らかに違う作品。
面白くないわけでも無いけど、正直物足りない。
この映画の最上の楽しみ方は、チラシを手にとって「どんな映画やろ?」って心を踊らせ、期待を大きく膨らます。そして「映画そのものを決して観ない」ことかもしれない。そんな作品です。
それでも、決して狭くはない劇場にこれだけのお客さんを呼べるなんて、ごっついことです。

大阪ではテアトル梅田などで公開していたけど、今でも上映してるかな? 良かった。モーニング&レイトでもう少し上映しているようです!
オススメとかオススメではないとは申せません。観て確かめるのも良し、観ずに心の中で育てるのも良いでしょう。そういう意味では評価が難しい作品ですね。
また、誰ひとりとして知った顔はキャスティングされていません(調べてみたら「ボクの国、パパの国」で出ていた人が「怪しげな男」役で出演しているようです)。

次回は韓国映画「風林高」をご紹介する予定です。

おしまい。