「小説家を見つけたら」

こんな話が嬉しい


  

あんまりアメリカの映画は観ないんだけど、知り合いから勧められて足を運んだのがこの「小説家を見つけたら」。会場は梅田のOS劇場。70〜80名の入りだから、いい感じですね。
このOS劇場は、昨年「カル〜tell me something」を観て以来、明るくて綺麗な会館ですね。関西の人ならOS劇場というと、以前のOS劇場が記憶にあるでしょうが、今のOSはそれとは全く違う映画館です。昔のOSがなくなってから何年になるかなぁ。

2時間15分ほどの割と長い作品だけど、中だるみもせず一気に魅せてくれます。ブロンクスに住み、ブロンクスの高校で学ぶ少年ジャマール・ウォレスはバスケットに明け暮れる本が好きな黒人少年。彼らがバスケットを楽しむコートをいつも双眼鏡で覗いている老人がいた、少年はいろいろな噂が絶えないこの老人の部屋に忍び込むことに…。
そんなことがきっかけで、ジャマールと老人との交流(?)が始まる。ジャマールは本が好きで、自分でも文章を書いており、老人に文章の書き方の手ほどきを受けることになった。
学業成績が優秀で名門私立高校にスカウトされたジャマールは転校することに。この学校でウォレスは自分が知っている変わった老人が、実は伝説の小説家ウィリアム・ウォレスであることを知る。

新しい学校での、淡い恋あり、バスケットの試合あり、そして作文の先生との衝突と軋轢ありで、青春学園もののような中味なんだけど、ちょっと味付けが違います。それは、ジャマールが相談したり、示唆を与えてくれるのが、親や先生や友達ではなくて、年老いたウィリアムだからかな。
このジャマール君ちょっとマジメすぎるところはあるよね。でも、あんまり嫌味にも感じません。文才に恵まれて、勉強も出来るし、バスケットでもヒーロー。かわいい女の子からも思いを寄せられている。冷静に見れば、恵まれすぎてるけどね。
結局、この映画では、若者と老人の間でも友情は成立するということが言いたかったんだろうと思う。でも、それは、この老人が金持ちで、世間から隔離された小説家だからなのかもしれないな。

ジャマールが盗作の嫌疑を掛けられたピンチに、ウィリアムが助けに来るんだけど、もう少し盛り上がりが欲しかったな。サイドストーリーの枝葉が多すぎて、焦点がぼやけてしまったところがある。もう少し、話を整理して、嫌味なサリエリ(昔の「アマデウス」という映画でモーツアルトのライバルであるサリエリの役を演じていた役者さん・この映画では嫌味な作文の先生の役)の役目を膨らませることと、ジャマールがウィリアムに何をしたのか(与えたのか)をはっきりさせられれば、もっと感動させることが出来る映画になったんとちゃうかな。
それと、タイトル(邦題)がもう一つピンと来ないネーミングやね。
とは言うものの、爽やかな印象を残してくれる佳作です。

もうしばらく、OS劇場で公開中です。ここでは、5月に「山の郵便配達」という大陸の映画が公開されます。予告編を見る限りでは、凄く期待が持てそうな作品です。お楽しみに。

おしまい。