02/10・吹雪の東鳳翩山

全身が真っ白になるような雪!


昨年の秋に一度計画を立てたものの、雨で断念した東鳳翩山へ再びチャレンジする機会が巡ってきた。この山は山口県の山口市と旭村にまたがる山なんですね。高さは734mとちょうど手ごろ。

日本一の大ダルマ

前日は広島県の三原市で開かれている「神明市(しんめいいち)」というお祭りに寄りました。広島に勤務していた頃から何年も行っているお祭りで、だるま市と植木市がメイン。
狭い沿道にはズラリと屋台が並びくだらないものばかり売っている。こんな屋台でも一際人気を集めているのが「福引」。一枚100円。100円を渡して三角くじを引いておばさんに切ってもらう。中に書いてある商品を貰えるという仕組みだ。去年までもさんざんどうしようもないものを引き当ててきたが、今年も...。そーさんと二人で3枚引いて当たったのは「洗面器」と「酒粕」「缶ジュース」だった。何年か前は「五万石」と書いてあり、どんな特賞かと思ったら単なる「瓦センベイ」で心底がっかりしたことがある。まぁ、一番いい商品でもお酒一升程度だから、たいした景品はないんだけどね。
日本一の大ダルマが沿道に鎮座しており、この下をくぐると一年の厄払いが出来るそうだ(ほんとかな?)。
今年は植木市でキンカンかユズの苗木を買おうと思っていたのだけど、どうもみんな元気がないのでやめた。以前はツバキをよく買ったが、最近は買うのではなく、実生を育てたり、接ぎ木や挿し木をして楽しんでいる。


さて、翌日は5:30に起床。まだ真っ暗な6時に出発。
山口市の中心部にほど近い糸米という。ここからおおまかに言うと北西に進路を取り、東鳳翩山の登山口がある天花畑(てんげばた)を目指す。はっきり言って寒い。北風が身にしみるし、知らない土地だけに街灯があるたびに地図で確認をしながら歩く。ちょっと淋しい。

やがて川に出合い、この川沿いに道をとる。「21世紀の森」という道路標識をなぞっていけばいい。天花の集落を過ぎるとようやく登り道(と言っても山道ではなく、舗装された車道・県道山口旭線だけどね)。
右手に一の坂ダム湖が見えてきたら天花畑はもうすぐ。運動公園沿いに道路は右手に分かれるが、ここでは標識に沿って「萩往還」へ進む。ここまでで約1時間。すっかり体も温まり、周囲も明るくなってきた。でも、空には分厚い雲が低くたれ込めており、頂上からの展望は望めそうにない。それどころか下手したら雪か雨が落ちてきそうだ。
萩往還は江戸時代に造られた街道で萩の殿様が参勤交代で江戸との往復で使われた古道だ。萩から山口を通って防府の港まで約55キロの道のり。その一部分が復元されており、その入口がここにある。
ここからは山道、一部には石畳が敷き詰められ、古道のイメージが復元されている(その割には中途半端だけどね)。杉や檜の植林のなか、九十九折りのこの古道をえっちらおっちら登っていくと空からは白いものが落ち始めた。

県道に二度出合い、横切るとやがて板堂峠。ここまででずいぶん高度は稼いでいる。植林地帯の中だったので全く眺望は効かないけどね。
峠に出るといきなり北から猛烈な風と雪。ほんとはここで一服する予定だったが、見る間にヤッケが白くなる。数メートル元に戻ってタバコに火を付ける。 この板堂峠からは尾根筋を山頂まで辿るんだけど、終始この風と雪に悩まされる。植生は切れ、尾根筋には北風がもろに吹き付けてくる。雪は雪飛ばされてそんなに積もってはいないが、上から下まで前進が真っ白になる。今朝、準備の段階でザックに入れてあった軽アイゼンを置いてきたことを思い出し、思わず舌打ちをする。それにザックカバーの購入も真剣に考えないと...。

幾つかの小さいピークを過ぎる。左手も右手も、前も後ろもせいぜい20メートルほどしか見えない。でも、コースはしっかり踏まれており、こんな視界の中でも道に迷うことはない。展望のよさそうな所には何カ所かベンチとテーブルが設置されていて、春や秋にはここで弁当を広げるグループや家族連れがいるんだろうな、と想像できる。が、今は全てが真っ白。ボクが今求めているのは風が避けられる屋根の付いた建造物だ。そんなものはあるはずもない。

板堂峠から尾根道を辿ること1時間と10分。最後のひともがきを経てようやく山頂に到着。「360度の展望が...」とガイドブックには書いてあったが、今ボクの目の前にあるのは山頂を示す標識だけ。
寒さはそう感じないものの、相変わらずの風と雪がボクを悩ませる。周囲からひときわ高いここ山頂には風をかわす場所もない。かじかんだ手でジッポーを取りだしたが、火がつくまで手で随分あたためないとならなかった。どっかりベンチに腰を降ろしている間にも、ボクの身体は風上の方から白く染まっていく。

展望が素晴らしい東鳳翩山山頂

山頂からは来た道を戻らず、地蔵峠を目指して南西の方向へ道を進む。山頂からしばらくは急勾配の道を一気に駆け下りる。地蔵峠まで約30分はまた尾根筋。こんどは背中(北側)に山を抱いているので風も雪もだいぶまし。
ほどなく地蔵峠に到着。ここまで来ると地肌が見えてもう雪は積もっていない。吉敷川の支流に沿って、舗装された小径をだらだら降りていく。
しばらくすると携帯電話が鳴った。心配した義父がクルマで途中まで迎えに来てくれるそうだ。
ちょっぴり残念だなとも思ったけど、実はほっとした。

ツバキの花も寒そうに...

糸米にある温泉「清水湯」で心も身体も暖まりました。
危険は感じなかったけどしんどかった。

お疲れさまでした!

 

糸米6:00〜7:20天花畑7:30〜板堂峠8:20〜9:30東鳳翩山山頂9:40〜地蔵峠10:05

 

翌日、山口市内から見上げる東鳳翩山