お正月気分もすっかり抜けたこの三連休。天候もすっかり春めいて、昨日などは良く晴れ上がって15度まで上がったらしい。昨日は目覚まし時計が鳴ったモノの起きあがれなくて、千ケ峰(1,005m)は連休の中日のこの日、13日に延期になった。
この日の天気予報は晴れのち曇り、夕方には雨が降るかも、気温は3月下旬から4月上旬のサクラが咲く頃のと同じまで上がるとか。
自宅を出たのは5時30分。中国道で滝野社まで行き、西脇を経由して加美町まで。事前の調査でポピュラーな三谷コースより、市原コースの方が良さそうなのでそちらへ向かう。市原林道に入るところに「林道工事のため、市原コースからは登れません」と表示が出ているが、「なんとかなるやろ」とこれを無視してなおもクルマを進める(よい子の皆さんはマネしないで下さい)。
これがアカンかった。数キロ進んだ所で路面に残雪が目立ち始め、とうとう全面アイスバーン状になってしまった。ノーマルタイヤの愛車ではもう歯が立たない、というか制御できなくなってしまった。いつ谷底へ転落するか分からないほどだ。路面を手で触ってみるとツルツル。昔日の悪夢が頭をよぎる。進むも退くも、にっちもさっちも行かなくなった。冷や冷やという感じは通り越して、生命の危機を感じましたね。
ギアをバックに入れてそろりそろり、決してブレーキは踏まないように下がり始める。ようやくクルマが動き始めてそのまま止まらないように50mは下がったでしょうか、ようやくUターンできる待避所。手のひらは汗でびっしょり。
このまま、もう今日は帰ろうかとも思ったけど、せっかくここまで来たのだから、と国道まで戻り三谷コースの登山道へ。
三谷登山口の駐車場にはもう一台クルマが停まっている。いつも早起きのボクにとっては先行者がいるのはなんか慣れない。
手早く準備と準備体操を済ませてスタートしたのは7時30分。良く踏まれた道だがゴロゴロとした大きい石が混じる比較的歩きにくい道だ。左手のは連続して小さい滝が続く沢。いきなりの登りで息も上がる。
10分も登れば雄滝、雌滝と連続した落差の大きい滝が続く。沢沿いのコースはこれも「お決まり」か、ツバキが多い。冬の殺風景なこの季節にこそ、早咲きの一輪が咲いていれば映えるのだが、まだ少し早いようだ。
そしてもう一つ大きめの滝を見送れば沢を渡る3本目の丸木橋を渡る。あたりは杉の植生に変わり薄暗い。ここからは一気に高度を稼ぐ。まるでもがくように登っていく。吐く息もすっかり荒くなって、一息入れる回数も多くなる。木で組んだ階段が恨めしい。コースのそこかしこには踏まれてすっかり固くそして汚れた雪が残っている。
ようやく杉の植生が途切れ、自然林になる。ぽっかり上空が開けてきた。「しんどかったけど、ようやく山頂か」と後一息頑張る。しかし、木々の梢の間だから“遙か彼方向こう”に山頂があるのがちらっと見えた。このショックは計り知れない。
やがて岩神座コースとの合流点。ここで荷物を降ろして大休止。しんどかった。ここにはもう一面の雪。ここからしばらく平坦な道。するとまた前方にちらりと山頂の姿が拝める。「いっこも近づいてへん!」
尾根筋を辿るコース。左手は植生が続き、右手には雑木林と笹の原が広がる。雪が溶けている箇所も所々あって、山を歩いているというよりも、水浸しの田んぼの畔を歩いているみたいなもんだ。雪が溶けている部分はぐじゅぐじゅ。日陰は雪が踏み固められてカチコチ。歩きにくいことこの上なし。しかも、またまた急登。脚を掛ける箇所もなくて、どろどろの急坂を手も使って這うように登っていく。途中でなんども軽アイゼンを装着しようかと思ったけど、腰を降ろす場所もない。
いきなり、頭上に何もなくなり、笑い声が降ってきた。
ふぅ。
でも久々にしっかり味わう達成感。空も近いぞ!
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山頂は雪の広場になっている |
山頂から西側には尾根筋が延び、 縦走も可能だ |
しばし、風に吹かれた後、ベンチに腰をかけて軽アイゼンを装着。帰路は同じコースを戻るが、アイゼンのおかげでスイスイ降りることができた。行きしなから付けとけばよかった。
10数組のパーティと出逢う。千ケ峰は人気がある山のようです。重装備でがっちりと登ってくる人もいれば、ジーンズにスニーカーという軽装の人もいる。この日の悪路ではスニーカーは厳しかったやろうなぁ。三谷コース登山口の駐車場には20台あまりのクルマが停まっていました。
ボクは帰り道でツバキの実を採ろうとして、何でもない場所で尻餅を付いてしまい、お尻がべっとりと汚れて恥ずかしかった。
秋には市原コースを歩こうと胸に誓って、春を思わせる陽射しの中ゆっくりクルマをスタートさせました。
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帰り道、クルマを止めて千ケ峰を振り返る |
おつかれさまでした。
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