#013・弥十郎・やじゅうろう

ようやく咲いた野性種

(2003/Dec./23撮影)

この季節になるとクルマを走らせていても、歩いていても、ついついツバキに目が行く。この時期でも葉がツヤツヤして陽の光を受けて輝いているのはツバキであることが多いんです。
山にあるツバキで、その花の形や色が確認できるのはまれだし、まして気に入ったり、気になるツバキに出逢う確率はむちゃくちゃ低い。

その「むちゃくちゃ低い確率」に出逢った極めて稀な例。
2001年の2月に大舟山を歩いた帰りに、足を伸ばして籠坊温泉の手前にある弥十郎山の登山口まで行った。ここの川縁に大きなツバキの木があるのを知っていたから。
そこで何本か穂先を採集して、挿し木は全部失敗したのに、たった一本だけ接ぎ木に成功。そして、昨年はツボミを付けてくれたが、大きくふくらむ前に全部落ちた。この秋もたくさんツボミは付いたが、大きくなったのは二つだけ。
数日前から一層ふくらみ始め、今朝花が開いた。

名前は山の名から「弥十郎」と勝手に命名。
野にあるときとは土壌の性質の違いのせいか、ちょっと色が違う。チョコレートのような変わった色だったけど、家で花開いた「弥十郎」は深紅。いかにも野生種らしい力強い姿だ。ちゅうか、このままなら典型的なヤブツバキ。
杓の黄色とのコントラストが綺麗ですね。

ずっと過保護で、家の中で育ててきたけど、春になったら鉢を替え外に出そう。寒さに当てると、きっと開花時期はもう少し遅くなるだろうな。
(文:03/12/23、写真:03/12/23)

 

濃紅 一重 小輪 早咲き(?)