青空チルアウト

中川充 メディアファクトリー 9784840120326



  

茹で上がってしまいそうな真夏の夕暮れ時。ボクはまだこれからもう一件用事がある。
その待ち合わせ時間にはまだ余裕がありそうなので、ボクとフィーリングが合う書店さんのひとつである紀伊國屋書店の本町店へ、久し振りに足を踏み入れた。
先日読み終わった「武士道シックスティーン」がドカンと平で積んである。「そうなんや」と思いながら、キョロキョロと視線をせわしなく動かすと、ふと、見たことがある名前が...。

なんともふざけたお話しで、なんとも云えない読了感。
申し訳ないけれど、な〜んにも感じられなかった。

20代後半の青年が主人公。学校を出て3年はまじめに働いてたものの仕事を辞め、その後何度か転職をした後に職を失ってしまう。部屋を借りる金もなくなり、そうこうしているうちに恋人だった女性の実家に転がり込んでしまう男の話し。
全く、共感出来ない。この主人公の焦燥感の無い毎日が面白おかしく書かれているのだけれど、仙人でもあるまいし、全く何を考えているのだか...。
別に、人さまの生き様についてとやかく言うつもりはないけれど、その日その日の暮らしに困っているのであれば、もう少しは頑張ったり、努力したりするものではないだろうか? 「あゝこんな生き方もあるねんな」とも思えない。この物語りの後で、主人公がどうなってしまうのか心配したりもしない。「世の中甘くないよ」とか「何してんねん」とも思わない。

強いて云えば“理解不能”。

いやぁ、夢も希望も共感も、もちろん共鳴もナシ。
語り部としての可能性について、生意気にもボクが判断するわけにはいかない。
今回は、語り部としてではなく、素材としてのこのお話しが、もうおっさんになったボクには全く合わなかったという判断にしておいて、次回作に期待。
(次回作はもう一回だけ買います)

おしまい。