「ムーンパレス」

ポール・オースター 新潮文庫 705円


  

春に異動があって、仕事の中味が大きく変わってしまった。
その結果、一番大きな変化は本屋さんに毎日行かなくなったことだ(当たり前か)。そして移動時間がほとんどなくなり、読書量ががっくり落ちてしまった(淋しい!)。

で、いささか古い本を読むことにする。
難しいことを考えずに読み始める、最初はちょっと戸惑うが、主人公のマーコが厳しい飢餓状態に置かれるようになってから物語りは大きく動き出し、後は一気にこの本の世界に引き込まれ、ページを繰る手が止まらなくなる。
ただ、いささか「こんなんありか?」って思わないこともないけどね。

あっちへ飛び、こっちへ飛びしながら語られる物語は、まさしく「物語」と呼ぶにふさわしく、ミステリーでもないのに、はらはらどきどきさせられます。この作者は「語り部」として一級品のものを持っているのでしょう。
予備知識をあまり持たずにお読みになることをオススメします。

文庫化されたのが97年なので、なかなかみつからない。数日後に紀伊国屋梅田本店を再び覗くと、棚にささっていたので購入。
最初はやや重いけど、その後は一気。おすすめ。

おしまい。