「華南(1999年5月)」

華南をめまぐるしく移動する


その2・広西民族学院

  

南寧は、日本的発音なら「なんねい」、中国式なら「なんにん」。
ホテルは街を旧市街(山の手?)と新市街(下町?)とに二分する大きな川のほとりにある。ボクが持っている大昔の地図にも載っているほどだから随分以前からあるのでしょう、いわゆる民族系のホテルですね(最近ではこんな表現はしないのかな? 中国資本のみで運営されているという意味です)。
この大きな川はひらがなの「く」を三つ重ねてその下に「邑」という字なんですが、日本語にはこの文字はありません。この文字、ボクが持っている中日辞書にも載っていない。発音は、「yong・ヨン」。その字に「江」で「ヨンチャン」。

北京からは何千キロという単位で離れているので、ここ南寧もなかなか日が暮れない。まだ真昼のようなのに6時をまわっている。
シャワーを浴びてすっきりした後に街へ出掛ける。
南国ムードが漂うのんびりとした街。上海や北京にあるようなぴりぴりとした緊張感はまるでなく、人もクルマもすくなくて「あぁ、田舎に来たんだな」って思ってしまいます。
街もそんなに広くなく、このホテルから火車の駅までがメインストリートになっており、この一帯だけなら充分自分の足で回れます。と言っても、街の中にそんなに見どころはありません(いや、全くない?)。
地図を片手に1時間も歩くと、街の様子はだいたいわかってきた。道を行く人々の顔つきは漢族なんだろうけど、明らかに南方系のもの。雰囲気はチープな香港を歩いているような感じ。でもクラクションの音は鳴らないし、皆さんせかせかしてないところがいい。
そろそろお腹が空いてきた。最初にカウンターでランチトレイ(あらかじめ幾つかに仕切ってあるトレイね)を受け取り、このステンレスのトレイを女の子に渡す。ガラス越しに値段が表示してある料理を指さすと女の子がトレイに料理を盛ってくれる。最後にこのトレイを受け取り、レジに行き料金を支払う。店先でこの仕組みをじっくり観察してから挑戦した。
残念ながら何を食べたのか全く覚えていない。ただ、メニューを見て注文して想定外のものがやってくるというリスクは無い。料理と生ぬるいビールで7.5元(≒112円)。
その後、ようやく陽が傾き掛けたので夜市(夕市?)を冷やかして歩く。しかし、南寧の物資の貧困さには驚いてしまう。普通、衣料品や様々な生活物資が山盛りにされているものだが、ここでは恐ろしく慎ましく上品に(?)並べられている。これで商売になるのか疑問。地図に記されている何カ所かの夜市を歩いたがどこも同じようなモノがほんの僅か並んでいるだけだった。人通りは少ないわけではないんだけどね。

翌日はバスに乗って郊外にある広西民族学院という大学に行く。街の中心地から出ている1番のバスに載るとそのまま連れていってくれるはず。ちなみにバスは0.5元。
ほんの十数分も走れば、市街地はおしまい。どっかーんと団地が現れたと思った瞬間に団地も終わり、後はのどかな農村になります。田んぼには一面に稲が青葉を揺らせていました。ところどころに水牛が繋がれていて、ほんまにのどかな光景ですね。
学校と言うよりも、お寺の山門のような校門をくぐれば、この山一帯がこの大学なんですね。校門からのなだらかな坂道を上がればすぐに「国際交流所」。想像していたものとはまるで違う、立派な施設でした。
その後、校内を軽く一周。しかし、中国の大学はなんと広大なのか! 校内に山あり谷あり、川あり、池あり...。もちろん校舎やいろんな施設もあります。都会の学校は大学が街だけど、ここでは山やもんなぁ。もっとも驚いたのが野外屋根なし、つまり壁だけトイレ。その詳しい報告は省きます...。
入った門とは違う門から校外へ。門のそばには何軒かの掘っ建て小屋が集まっていてる、これは食堂。衛生観念が「大陸化」されていない方にはとてもじゃないけどオススメできない。琺瑯引きの器にビニール袋がかけてあり、そこにメシを盛ってくれ、その上に何種類かのおかずを強引に載せてくれる。それを有り難くいただく。2元(だったと思う)。間違いなく、お腹は一杯になります。

市内に戻り、バスを降りたところにある郵便局で切手を買う。
これが、まぁ驚いた! カウンターで切手を販売しているおじさん、簡単な掛け算がぜんぜんでけへん。
日本で生活していると、ふつうお釣りを間違えて渡されることは考えられない。でも、中国ではレジがあるスーパーなどは別として普通の商店なら「7.8元やから、10元札を渡すと、2元2角のお釣りやな」と事前に計算してから、構えてお釣りを受け取る(でも、大抵はその商品が幾らなのか書いてないし、聞いても聞き取れないことが多いから、計算出来ないんやけどね)。
確か絵ハガキを日本まで3.2元(この当時、多分今でも変わってないと思う)、この日のお昼より高いょ。その切手を10通分と、その時手許にあった2枚の絵ハガキに貼る分、合計12枚分(@3.2×12=38.4元)を買う。
中国の切手は3.2元の切手は無い。だから、2元と1元と2角(確か「20分」と表示されているはず)を組み合わせて3.2元にする。
この郵便局のおじさんは、それが計算出来ない。見ていてちょっとかわいそうになったほどだ。その上に、50元札を出したものだから、お釣りを計算するのにも四苦八苦。結局、このおじさん、切手はちゃんと12通分くれて、お釣りは10元札2枚をいささか強引にくれた。「こんなんでエエんか?」と思いながら、ありがたく受け取った。

後日乗る予定の広東省の港町・湛江から香港までの航空券を手配しようと、民航オフィスに出向き予約を入れようとするが、どうも南寧では発券できないようだ(理由は不明、後日判明したけど)。困ったな。

つづく