「上海〜成都〜重慶〜杭州(1998年5月)」

四川省をウロウロ旅する


その1・スタートは上海

  

まだこの頃は中国に慣れていなかったし、中国どころか海外旅行や一人で旅に出ることにも慣れていなかった。だから、出発前にはしっかり予習もしたし、可能な限り予約をして関空を出発。

乗ったのはMU(中国東方航空)。勤務先の中国担当の湖田さん(仮名)に頼んで一番安いチケットを取ってもらった。13時ごろに関空を出る便。時差の関係(中国は日本時間−1時間)で、15時半ごろに上海着。空港内のMUのカウンターで明日の国内線のリコンファームを済ませる。語学力の関係で、リコンファームを電話で行うこともままならず、空港の国内線出発カウンターで、人垣を押しのけてリコンファームするのはなかなか手強い。まずは、中国式の洗礼を受けるということやね。
「ちゃんとリコンファームしておかないと、中国の国内線は簡単に予約を落とされますよ」なんて、出発前に脅かされているので、ボクも必死だ。ようやくカウンターに辿り着いて、チケットを差し出し、リコンファームを申し出るとカチャカチャって端末を叩いて、パコんとスタンプを押してもらい終了だ。

上海空港(このときは浦東の新空港はまだなかったので、虹橋空港)は、なんか「恐ろしい」ように言われたり、書かれたりしているけど、そうでもないよ。タクシーもちゃんと乗り場に並んで乗れば安心・安全(だと思う)。乗り場にいる係員に行き先を漢字で書いたメモを見せれば、彼が運転手にその行き先を上海語で伝えてくれる(はず)。
両替は空港で済ます。国際線で虹橋空港に到着した人は、入国審査を済ませ、荷物をピックアップしたら、形ばかりの税関を通り抜け、このエリアを通り抜けて、ロビーに出る直前に扉の右側に両替をしてくれる銀行のカウンターがあります。ここで両替をしておかないとタクシーにも乗れませんよ。中国では基本的に、どこで両替してもレートは同じ(だと思う・ヤミを除く、でもリスクを背負ってまで、ヤミで両替するメリットはない)。

この日のボクの宿は「復旦大学国際交流中心」。復旦大学にある外国人留学生用の寮ですね。
リコンファームで時間を取られたせいもあって、復旦大学に着いたのは18時頃だったか。ここに来るのは2度目だから気分も落ち着いている。荷物を持って食堂に行ってみると、中国担当の湖田さんと、前年に北京大学でご一緒いただいた荒井さん(仮名)を含む10数名が夕食を囲んでいる。
グッドタイミング。みなさんにご挨拶してから、小姐にお願いして、もう一つ席を作っていただく。初対面の方には少し遠慮しながら、一緒に卓を囲む。留学生用の食堂だけど、ちゃんとコースで料理が出てくる。北京大学よりもここの方が美味しいかな。

食事が終わり、皆さん部屋に引き上げる。ボクは湖田さんの部屋に一晩居候する。その後、湖田さんと荒井さんと3人で近くの朝鮮料理屋に飲みに行く。復旦大学は海外からの留学生を数多く受け入れており、中でも日本人と韓国人の留学生が多い。そんな留学生の食欲を満たすのに、学内の食堂だけでは足りず、日本食や朝鮮式食事を提供する食堂が近くに軒を並べているワケです。大学の構内だけで一つの街が形成されていて、巨大な敷地を持つ北京大学や清華大学では「ちょっと学外に飲みに行く」ことは難しいけれど、大学の敷地とは少し離れた場所に留学生宿舎(国際交流中心)があるこの大学では可能です。 そんな食堂の一つ「故郷食堂」。お店の中の壁には一面に山口にある錦帯橋のポスターが貼られている。でも、朝鮮族のおじさんが経営しているこの食堂は朝鮮料理が中心。去年復旦に来たときにも何度もここでご飯を食べた。ハングルもわかるおじさんとまだ若い上海っ子の娘が3人働いている。
個人経営のお店はサービスもいいし、ヤル気もあって、なかなかいいです。こうやって、何度か足を運ぶうちに顔なじみにもなるしね。
荒井さんは去年のゴールデンウィーク以来だから、ちょうど1年ぶり。ほんとに久しぶりだ。湖田さんを含めていろんな話題で話の花が咲く。荒井さんはボクより一回りほど上の方なんだけど、とっても勉強熱心だし、好奇心が旺盛。ボクも見習わなければならない点がたくさんあります。

つづく