05/21/2006・実踏調査 ロックガーデンから西お多福山

イルボン君さんへの手紙


「イルボン君」さんへ

ロックガーデンから最高峰へのルート

このたびは、関西へお越しになるというご連絡を頂戴しありがとうございました。滅多にない機会ですので、是非とも六甲へもご一緒したかったのですが、自由のきかない勤め人ですので、こうして文章でご案内するだけになってしまうのが残念です。
で、今日、コース紹介も兼ねて歩いてきましたので、簡単ですがご案内とさせていただきます。

昨年の7月末の三連続山行ですっかり売り切れてしまい、このところ山からは遠ざかっていた。そうこうしているうちに、まだ寒い頃に右ひざを痛めてしまい、ますます...。
ゴールデンウィークに森の音さんにご協力いただいて、ホームグラウンドの三田の大舟山へのリハビリ山行も済ませたので、天気予報の後押しもあって久々に軽登山靴のリース(靴ヒモ)を締めました。
しかし、あかんなぁ。しっかり準備をしたはずなのに、デジカメは忘れる(前夜、メモリをフォーマットして、電池もサラに入れ替えたのに...)、さらにはヤカンも忘れてしまい、コーヒーも飲めませんでした(トホホ...)。

5時半の電車に乗る。天気予報どおり。快晴。空気は乾いて、少し肌寒いほど。
芦屋川で降りる。あヽ、駅前の早朝清掃まだやっていらっしゃるんだ。ご苦労様です。リースを締め上げる前に、入念に準備体操とストレッチ。まだ病み上がりだしね。どうも、身体が重いような...。
いつもなら、柿谷コースからゴロゴロか、それとも城山から荒地山か、どちらかになるんだけど、今日は東京からお越しになるイルボン君さんにコース案内を書くために、高座谷をつめてロックガーデンから西おたふく山、そして最高峰までの予定です。

阪急の芦屋川駅を降りましょう。改札の前にある売店が最後の売店になります。改札を出て左手。すぐに小さい公園があります。ここから川に沿って山に向かいます。標識に沿って、舗装道路を歩きます。標識は「ロックガーデン」か「高座滝」です。
そのまま歩くとマンション建設現場の造成地に突き当たりますが、ここは道ナリに左へ。そのまま造成地に沿って下さい。標識のまま、急坂の舗装道路を進むとだんだんと山らしくなってきます。
不思議なもので、ベテランの山屋さんでも、コースに入る前の市街地で迷ってしまうものなんですね。
そのまま車道をつめると鬱蒼としてきて、そのまま滝の茶屋、大谷茶屋に到着ですね(ちょっと高いですが、ここでも飲み物を買えます)。舗装道路とはここでお別れ、トイレもここが最後になります。

高座滝(こうざのたき)を高巻きする急な階段を上がれば、すっかり山の中ですね。一気に高度を稼ぎます。ここから右手(西側)に広がる「地獄谷」一帯が、いわゆる「ロックガーデン」です。しかし、今は若葉が萌える季節。そんなに岩肌が見えないのが残念ですね。
ここから一つ目の(送電線の)鉄塔まで、ずっとサボっていただけにちょっと応えます。一つ目の鉄塔から二つ目の鉄塔に至るまで、何箇所か地獄谷に降りる踏み跡があります。ボクは岩登りはしないのですが、今朝も一人岩にかじりついている方の姿が見えました。
そのまま踏ん張れば風吹岩跡(かぜふきいわあと)。六甲特有の花崗岩が風化した砂地のに岩がかたまっている広場に出ます。この辺りには、イノシシ(もちろん野生)が出没しますので、要注意。今朝も子供のイノシシが二頭。野良猫が3匹。山中で見かけるイノシシは、脱兎のごとく逃げて行きますが、このイノシシはよっぽど人馴れしているのか、カメラを探してザックの中をごそごそしていたら、何かくれると思ったのか、ハナをひくひくさせながらこっちによってくるから、かわいいやら怖いやら...。
見晴らしが良い岩の上に腰を下ろして、一本入れる。水が美味しい!

風吹岩跡から雨ケ峠(あまがとうげ)までは、森の中のコース。静かです。このあたりは芦屋カントリークラブの敷地内を通過するので、途中2ケ所イノシシ除けのゲートを通ります。
高度差はそんなにないので、距離を稼いで、東屋が見えてくるとここが雨ケ峠です。左に行けば住吉谷。そのまま行けば東お多福山。
時間が許せば、少し遠回りになりますが、是非お多福山を経由して下さい。六甲山系で唯一なだらかな丘陵地帯で、笹とススキのなだらかな草原。「あの丘を越えたら、どんな景色が待っているのかな?」そんな気分になります。また、振り返ると、西宮や芦屋の海だけでなく、このあたりからは西側の尾根越しに神戸の海も見えてきます。
だらだらとした草原を登ると、唐突に西お多福山の山頂を示す標識。ここで一休みですね。
でもなぁ、今日はストーブがあるのにヤカンがなくてコーヒーも飲めません。残念無念。いい天気だけど、風があまりなくて、遠くの景色がかすんでいるのも残念。腰を下ろしてザックも降ろす。それでも汗をかいたあとだけに水も美味しいです!
草原を駆け抜けていく涼風がなんと気持ちが良いことでしょう!

すると、なんと長く愛用してきた登山靴が壊れている。右足のつま先、ソールと靴底がぱっくりと口を開けているやんか!
2001年の1月から履いているから、まる5年間。お世話になりました。こんなふうに登山靴が駄目になるとは思っていなかった。こないだのリハビリ登山の後、珍しく手入れをしてミンクオイルをすり込んでおいたのにな。

お多福山から、土樋割峠(どびわりとおげ)を経て蛇谷北山から石の宝殿へ、そこから最高峰へと思っていたけど(西お多福山から最高峰まで、およそ1時間10分)、この靴ではもう無理。奥池のバス停まで降りることにしました。

さて、ロックガーデン経由で最高峰へ行くには、今日ボクが歩くはずだったコースの他にも、ショートカットコースとして、雨ケ峠から左(西)にとり、住吉谷に出会って本庄橋跡を経て七曲りを辿って一軒茶屋(最高峰直下)に至るコースもあります(雨ケ峠から最高峰まで、およそ1時間)。
いずれも、ラストは結構な急登になりますから、心して下さい。ただ、しんどいですが、技術的に難しい箇所はありません。

六甲の最高峰は「えぇ、ここが?」と拍子抜けしてしまうような原っぱです。ただし、ほとんど俗化されてもいません。折角ですから、是非立派な三角点に“でん”(「ぺたっとタッチすること」の関西的言い回しです)してください。
最高峰から、魚屋道(ととやみち)を辿れば、有馬の温泉街までほぼ1時間。凌雲台(りょううんだい・ここから有馬へのロープウェイがあります)までは、全山縦走路を辿って30分ほどですか。記念碑台(ここから阪急六甲への路線バスがあります)までも、全山縦走路でおよそ1時間(凌雲台からさらに30分)ほど。逆に宝殿橋(ここからは有馬温泉と芦屋川まで路線バスがあります)までは、車道を通って30分程度です。

有馬では神戸市営の温泉浴場が「金の湯」「銀の湯」の二施設。大きい施設では有馬ビューホテルかかんぽの宿があります。この他、日帰り入浴が可能な施設もたくさんありますので、まぁ選り取り見取りですね。お値段は入浴料のみで600〜2,500円ほどです。

ご連絡が遅くなった上に、全く不完全なレポートになってしまい申し訳ないです。
経験が豊富で、健脚な貴兄のことですから、何も心配はしていませんが、天候が読みにくい時期だけに雨具だけはご持参下さい。

もし、もっと詳細な情報が必要な場合はご連絡ください。よろしくお願いいたします。

杭州 拝

 

阪急芦屋川駅(6:00)〜高座の滝(6:20)〜第一鉄塔(6:40)〜(7:00)風吹岩跡(7:05)〜雨ケ峠(7:50)〜(8:15)西お多福山(8:40)〜(9:05)お多福山登山口バス停