03/29・春なのに雪山登山入門編

残雪の若狭・頭巾山で悪戦苦闘


想定外の雪に杭州隊員の後ろ姿もしんどそう
「こりゃどう見ても“真冬”やで!」
(撮影:森の音さん)

 

寒さが厳しかったり、風邪を引いてしまい体調不十分だったり、プライベートな事情があったりと、様々な要素が重なり、厳寒の1月末に裏六甲をさまよってい以来、すっかりお山にはご無沙汰していました。
そして、3月最後の週末、久し振りに登山靴の紐を締める。行き先は若狭の国。福井県名田庄村と京都府綾部市の境界にそびえる「頭巾山・とうきんざん(871.0m)」。
今回はすっかりなまってしまった身体のリハビリも兼ねているので、厳しくないコースを選択したつもりだった。また、つい最近開通した「舞鶴若狭道」の開通記念という意味もある。
森の音さんと二人で山行。今回は手袋の替えも謙虚な心もばっちりザックに入っている。

まだ暗い午前4時半に森の音さんの家に集合。
西宮北ICから中国道に乗り、一路若狭(舞鶴東IC)へ。舞鶴道はいつものようにガラガラ。高速を降りて国道27号線を東(敦賀方面)へ、途中コンビニで食糧を調達。国道をそれて大飯高浜IC(名田庄方面)へ向かいます。買い物のご予定がなければ舞鶴若狭道を大飯高浜出口まで行く方が速いですよ。
国道162に合流してからしばらく南へ(綾部方面)進み、村立の流星館が見えればその手前を「野鹿(のか)の滝」の表示に従い右に曲がる。後は沢に沿って谷に分け入り、「野鹿谷橋」の手前を左に入ります。その後「野鹿の滝」を見送って、やがて舗装が終わり地道になり、一つ目橋を渡ると100mほどで道の左端に膨らみがあるのでそこにクルマを置きます。
途中、何箇所か路肩が崩れて流されていますし、本来は登山口のすぐ手前までクルマで行けるはずが、土砂崩れで道が塞がれていました。途中で工事をしている箇所もあるので、その時その時によってどこまで車で行けるのかは違う可能性があります。充分注意して下さい。

手早く装備を整え、軽く準備体操。
左手にある谷はなかなか良い渓相で、今にもヤマメの姿が見えそう。しばらく林道をそのまま進むと、やがて「頭巾山登山口」の表示が目に入ります。
一度沢に下りて、沢を渡ってから登山道が始まります。沢には小さな雪渓が残っている。が、その少し薄汚れた雪には踏み跡が「ない」。ちゅううことは、ここしばらく(少なくとも1カ月)は誰もこの山に入っていないのかな?
見上げれば、そこここの斜面に白いものが残っている。順調に杉の植生の九十九折の山道を歩き高度を稼いでいく。すぐにコース上にも雪が現われ、足跡が付いていないザラメ状の雪をザクザク踏みしめていくのは気持ちいい。しばらくは雪道と地道の繰り返し。雪は溶けかけていて、つるつるに凍りついていないので助かる。温度計は5度を示す。
ようやく植生が終わり、杉に混じってブナ林になるが、ここからは雪の残り方がハンパじゃない。それに踏み跡が付いていないのはなんだか嬉しいけれど、自らルート選択をして、コースを開拓しなければならないのは大変。べちゃべちゃな雪ではなくて助かるけれど、場所によっては足首までズボっと入ってしまう。

そうこうして、歩みを進めると積雪量はどんどん増えていく。もうどこが登山道で、どこが斜面なのかさっぱり見分けはつかなくるし、足首どころか踏ん張った足が膝の上まで埋まってしまう。
もう3月も終わりで、阪神間ではサクラが開花しているこの時期に、雪山登山の練習が出来るなんて夢にも思わなかったょ!
それこそ、ズボっ、ズボっと雪を踏みながら、抜きながらの歩行は思いの他体力を消耗する。曇り空とは言え視界は極めて良好、微風、気温は5度もあるという環境でこれだから、吹雪で視界が効かず、寒風が吹きすさび氷点下の気温であろう通常(?)の雪山だったら、もう迷わず退却です。1,000m未満とは言え、日本海側恐るべし!
膝が笑うどころか、下半身全部が笑っている。向かいに見える山にも雪がたっぷり残っているょ。

しかも、無雪期であれば整備が行き届いたコースだと思われるけれど、それは当然雪の下に隠れている。どこが安全なルートなのか見当がつかないのには困った。とにかく足場を確保しながら歩いて行く。斜面に張り出した雪庇を踏み抜いてしまえば、そのまま斜面へ滑落だ。
もがくこと数十分。ようやく稜線に到達。「もうしまいやで(“もう終わりだよ”という意味)」と励ましあいながら進むけど、いっこも頂上が見えてこない。「祠があるらしいで」と言うが、もちろん祠も見えない。「大きな岩もあるらしいで」と言っていたら、ようやくこの大きな岩(ほんまにごっつい!)を含む岩場に到着。ここを通過して、さらに雪に埋もれながらよじ登ると、ようやく左前方の稜線の先に祠が見えてきた。
具体的な目標がはっきり視界に入ると、足も幾分か軽くなる(現金なもんや)。いつの間にか向かい側の尾根も見下ろすようになっている。稜線に到達してからがしんどかった(雪も深かったしね)。
それこそ「ほうほうの体」で、ピークへ。三角点は雪の下に隠れているかなと思っていたけど、しっかり顔を出してくれてました。ここに「でん」。

あ〜、しんどかった!

久々に味わう「達成感」。
相変わらずの曇天で、遠くまでの眺望が効かないのが残念。快晴なら日本海も見え、ぐるっと360度の展望だと言うのになぁ。
途中からは見えなかったけど、山小屋もある。助かった! 記念撮影もそこそこに山小屋へ退避。さっそくストーブに火を入れ、まずは熱いカップヌードルを作ろう!

帰りは大きな岩の手前で、なんと自分たちが付けたはずの足跡を見失うハプニング。ちびっとあせりました。
その後は踏み跡をトレースする楽チンコース。登る時は必死だからそうは感じないけれど、降りるときになって初めて「こんな急やったんか!」って実感しますね。疲れて下半身に力が入らないからよたよたとバランスを崩したり、なんでもないところで躓いたり。ほんまに「情けない!」。
それでも、降りるに従って雪が少なくなっていくのはなんだか寂しい。やがて、杉の植生に入り、林道の法面が視界に入ってくるとこのコースもおしまい。いやはやほんまに「お疲れさまでした」。

林道をクルマに戻る道すがら、土手にはところどころにフキノトウが顔を出していました。しっかり採集。その晩天ぷらにして食べると、ほろ苦い春の味がしました。
クルマに乗り込みR162を美川まで戻ると、さっきまでラッセルしながら雪道をもがいていたのがウソのように柔らかな春の日差しが降り注いでいる。梅や桃が枝一杯に花を付け、春の風景そのもの。この落差に驚くとともに、山を舐めたらアカン、と深く心に刻みました。

スパッツは絶対に必要。ストックと手袋の替えもあれば重宝するでしょう。また、ほんとに暖かくなるまでは、すぐに飲めるよう魔法瓶に暖かい飲み物を用意した方が無難。そして、事前の情報収集。最後にアカンと思ったら潔く退却! これが今回の教訓です。

いやぁ、お疲れさまでした(ほんまに!)。

 

駐車した場所7:00〜登山口7:15〜8:30山頂9:15〜登山口10:15〜駐車した場所10:30
※今回のコースタイム、ほとんど参考になりません!

 

山頂の祠をバックに記念撮影 三角点がひょっこり顔を出してる
周囲の山もまだ雪景色 下山も悪戦苦闘です