先週は東京へ出張へ行っていて、土曜の帰阪が深夜になったため山歩きはお休みしてしまった。今週は土曜に歩く予定で朝早くに起きたものの、なんだかだらだらしてしまい結局出発しなかった(ちょっぴり寒かったしね)。で、26日の日曜になってようやく腰を上げた。
どこを歩こうかずいぶん迷った結果、有馬からまだ見ぬ「蟇滝」と「くも滝」を探しに沢沿いをほっつき歩くことにした。
今回はそう冷え込みがきつくないのでクルマで出発。ロープウェイの有馬温泉駅そばの駐車場に着いたのはまだ暗闇の中の6時過ぎ。日の出がだいたい7時過ぎやから、6時半には明るくなっているはずや。
装備を整え、準備体操。あかん、大事なモノを4つ忘れてきた。スパッツ、替えの手袋、そしてマフラー。もう一つは後でわかります。
やっぱり「有馬にしょう」と決めた瞬間から気が緩んでたのかなぁ。
まだ薄暗いけど、出発。上空には三日月と呼ぶには少し太い月が白く輝く、そんなに寒くはないけど、頬に当たる空気は冷たい。静かで、何か稟とした澄んだ空気。
歩き始めると最初はかなりしっかりした道幅も広いコースなので暗くても大丈夫。身体が温まって来たら湯漕谷との出合い、堰堤を巻き歩を進めると蟇谷との出合い。温度計を確認すると0度。
今日は巻き道ではなく、この蟇谷を沢沿いに歩く。雪の中、幾つかの踏み跡が残っている。大して苦労もせず遡行開始。まぁ、1/5にもここは歩いているしね。しばらくして二つの巨大な連続堰堤。当然巻く。二つ目の堰堤を巻いた直後に沢の河原まで戻る。上流に向かって右手を注目して歩くが、なかなか蟇谷らしい出合いはない。もう少しで例の無名爆と思っていたら、いきなり蟇谷があった。前回の時は無名爆の水音に気を取られてこの出会いを見逃していたようだ。
残念ながら蟇谷は気持ちほどの流れで、ほとんど枯れ沢。出会いから20メートルも行くと「蟇滝」の名残がある。水量がある程度あればそこそこの滝だろうけど、今日はちょろちょろっとしか流れていない。そこそこ気温が上がっているので凍ってもいないしね。
滝を直登すると沢は左右に分かれている。今日はこの上流にある「クモ滝」を見つけなければならないので、地図を取り出して見比べたんだけど...。
地図上では沢は一直線に延びているので、右手の沢に決めた。
でもホントはこっちはもう「沢」ではなく「壁」だったんだけどね。でもそれは途中で気がついたことで、その時にはまだわからなかった。
今回、実感したのは、六甲は花崗岩で出来ていることと、想像以上に風化が進んでいること。
まぁ、ホールド出来るそうな岩や石はボクの体重を支えてはくれない、次から次へと崩れていき、ボクもずるずるこの壁の途中で後退していくしかない。木の根も草も腐っているかずぼずぼ抜けてしまう。にっちもさっちも行かないよ。進退きわまる。
振り返ると、水平距離で10メートルも進んでいないのに、垂直距離では30メートル以上登ってきているのがわかる。このままずるずる後退できれば幸せだろうけど、きっとずるずるではなく、一気に滑落して下手したら大ケガするんやろなぁ。
ふと、左手になんとなくルートが読めた。よし、あの石に踏ん張って、あの垂れ下がっている根っこにぶら下がれば...。見ているぶんにはなんとか行けそうにも見えたんだけど、実際に行って見上げると、石はしっかりしていたものの根っこを支えによじ登るはずの岩はオーバーハングしないとあかんほどの角度(実際はそんなことないけど、目の前にするとそう感じる)。あえなく退却。
仕方ないので右手に進み、少なくともずるずるとは滑らないクマ笹のヤブの中に突入。ほんと、こんな日にスパッツを忘れるなんて!
ほどなく、沢の形跡もすっかりなくなり、さっきの分岐で右手を選択したのが誤りであったかとがハッキリした(それとも、水が多い頃には今よじ登った壁に水が這い「くも滝」になるのだろうか?)。しかも、後戻りするのは極めて困難。「くも滝」はあきらめ、次回にする。
幸い、見上げれば尾根筋が近いことがわかる。尾根に出ればなんとかなるだろう。ヤブを漕いでしばらくすると尾根に出た。すると5メートルも行かない下にまた沢が流れているではないか。「これってさっきの左側の沢?」
沢筋を道無きコースを開拓しながら遡行。こりゃナタがいるよ。
随分歩いた結果、滝どころかどんどん水量が減っていき、とうとう沢の形跡だけになる。いつのまにか沢の形跡も姿を消し、身長よりも高く伸びたクマ笹のヤブを漕ぐ。これってけっこうキツイ。上からは容赦なく笹の葉に積もった雪が落ちてきて全身がびっしょりになる。手でかき分けて進むんだけど、その速度たるや、10分で10メートル進めているかどうか...。
今回もその明るさから尾根筋からそう離れていないことがわかっているのだけが救い。進みたい方向ではなく、漕ぎやすい方向に進むしかない。
ぽっかり出た尾根筋には反対側に登山道がついているのが見えた。ほっとした。遭難するとはこれっぽっちも思わなかったけど、さすがにあとどれくらいヤブ漕ぎせんとあかんのか心配になっていた。最後のひともがきでコースに飛び出る。助かった。
どうやら予想通り番匠屋畑尾根のようだ、しばらく行くとロープウェイの鉄柱に出た。ここで地図を確認するとなんともヘンテコなルートをもがいて来たことがわかった。
家に忘れてきた4つめの忘れ物は「謙虚な心」でした。
森の世捨て人さんから「むちゃなことばっかりして!」とお叱りの声が聞こえたような気がしました。
あと何回か通って、もっと安全確実なルートで「蟇滝」「くも滝」に行けるようにルートを歩いてみます。
おつかれさまでした!
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