12/14・淡雪残る芦屋川の核心部をあるく

久しぶりの六甲は静かで気持ちいい


最近ご無沙汰していた六甲を久しぶりに歩いてみた(ごくごく一部から「どこが“六甲やまだより”やねん」という声もあったことだし...)。
今週は冬らしい寒い日が続いて、週の半ばには六甲の滝が凍り付く「氷爆」を見ることができそうな朝もあった。この日も前日の天気予報によると関西は冬型が緩んで移動性高気圧の圏内に入るらしい。ピーカンに晴れると放射冷却で朝の気温が随分下がりそうだ。上手くすると氷爆を見られるかもしれない。

5時過ぎに目が覚めると、なぜだか妙に暖かい。この感じだと7、8度はあるかも知れない。氷爆はムリやな。
コーヒーを飲みながらラジオに耳を傾けると、午前中から晴れるらしい。準備を整えて外に出ると、上空には厚い雲、無風。これじゃぁ放射冷却はない。
阪急の芦屋川には6時半。あたりは随分明るくなってきた。準備運動とストレッチで身体をほぐしているとすっかり夜は明けた。

柿谷コースから入って、前川公園コースに入る予定。駅前から舗装道路を歩き始めると身体がぽかぽかしてきて、柿谷入口までに一汗かきました。ここでフリースを脱ぎ、ザックに入れる。
最初の分岐を右に取れば前川公園コース。しばらく頑張ると尾根筋に出て、鉄塔に出会うとすぐに336mの無名ピーク。一息入れて汗をぬぐう。それでもさすがに12月とあって、停まると寒い。
もとの柿谷コースと出会い、道も良く踏まれ歩きやすいコースになる。途中、以前からちょっとしたお気に入りの「見晴らし岩」で一休み。ここまで来るとゴロゴロ岳まではもう一息だ。

正直言うと、今日は何か身体が重くて、見晴らし岩までがいつもの何倍も遠く感じ、きつかった。でも、ゴロゴロ岳に着く頃にはすっかり身体が慣れて「このまま苦楽園尾根を降りるのはもったいない!」とまで思えるようになった。
地図を広げてしばし思案した結果、10月に荒地山を歩いたときに通りかかったおじさんが言っていた芦屋川の最奥部「本谷」を歩いて宝殿橋のバス停まで歩くことにした。

地図で見る限り、上流に向かって右手には道が付いているようなので、芦有道路を横切りその道に向かう(これが失敗やった)。そごうの閉鎖された研修所の前を過ぎると本谷の流れにはぶつかるが、高度差がありとてもじゃないけど沢筋に降りることはできない。しかたがないので非常手段(良い子の皆さんは真似しちゃダメだよ)。
どうにか谷筋にかかる堰堤に出たのはいいが、ここからにっちもさっちも行かない。本当は上流に向かって左手の数件の新築住宅に沿っていけばすんなり行けたのでしょうが...。
道無き道を高巻く。踏み跡もない。
ようやく巻けた。

ここからは注意深く歩みを進めると大丈夫なはずだったけど、すぐにある次の堰堤、ここも巻く道がない。左手になんとか取り付けそうな岩があるけど、その他は5mはあろうかという壁に行く手を阻まれる。仕方がないので、左手の岩にアタック。
「もうちょっと絞って体重減らさんとあかんなぁ」とか、「ここで滑って頭から落ちたら死ぬかなぁ」なんてことが頭をよぎるのだ...。
もう少し、もう少し、って感じで手に汗握りつつようやくクリア。「フ〜」。
50mも進むと次から次へと堰堤が現れる。高巻き道がうっとうしい。でもここからはペンキとテープが道を誘ってくれる、助かった。想像以上に踏まれている(と、言うことは、ノーマルルートからアプローチすれば、なかなか簡単なコースに違いない[もちろん未確認ですけど])。
しかし、誰にも逢わないなぁ。人はいないけど、鳥たちはたくさん。今回バタバタと目に付いたのはキジの姿。合計5羽は見たでしょうか。キジは小鳥と違い大きいので、バタバタと羽ばたく音が大きいんですね。
大きい堰堤には名前が付いていて「滝谷第二砂防堰堤」の標識。「しまったなぁ、本谷やと思っていたのに一つ東側の谷に入ってしもた」。

幾つかの堰堤を巻いて一息つくと、一際大きい水音が聞こえてきた。
足を進めると落差が5mほどと3mほどのかわいい滝が出会っている。そうか、この滝があるから「滝谷」なのか。
高巻きするとき以外は沢筋のごろごろ石の河原を進む。ペンキやテープを目印にすればok。高巻きは所々厳しい部分もあるけれど要所にはロープが渡してあるので、初心者の方でも経験者の方と一緒なら大丈夫でしょう。

途中で巨大なパイプ(鉄骨?)で組んだ土石流防止用なのか堰堤。巨岩が落ちてきても大丈夫なように作ったんやろうけど、こりゃ無駄以外の何物でもないなぁ。
一体、いつまでこの谷は続くんや。いい加減イヤになってきた。地図で確認するとそんな距離がなく、もうそろそろ谷筋が切れ稜線に出てもよさそうなのになぁ。
岩の上やクマ笹の葉には先日の冷え込みで降った雪なのでしょう。白いモノが残っている。
ようやく、谷が終わり、一気に高度を稼ぐクマ笹の道に。と、また水の音。斜面が削られて大黒明王(やったかな?)が祭ってあり、そこに山水が落ちるようにパイプが配してある。ザックを降ろし、この水で喉を潤す。背中からはもうもうと湯気が上がっているのが自分でもわかる。でも「ここはどこ?」

ようやく稜線が近い。ここまで来るとあたりは一面の雪。もう一踏ん張りで、なんとぽっかり「石の宝殿」に上がってきた(記憶にあるよりずっと綺麗になっている!)。
と言うことは、今歩いた谷筋はやっぱり本谷やったんや。
時計を見ると宝殿橋をバスが通過する時間まで20分もない。手早くお参りを済ませ、芦有ゲートまで走る走る。
間に合いました(でも、何故かバスは満席!)。

寒くなってきて六甲を歩くにはちょうどいい季節になりました。来週はどこを歩きましょうか? 有馬温泉に新しい公衆浴場「金の湯」が先日オープンしたことだし終着地が有馬になるコースがいいかな。
(翌日・12/15は、ピーカンの晴天。風も少しあり放射冷却の影響もあって、この冬一番の最低気温を記録、本谷のあの小さな滝も凍っていたかな?)

おつかれさま!

 

ごろごろ岳にはすっかりご無沙汰 稜線が近づくと淡雪が残る
芦屋川の本谷にあるかわいい滝