「東京ゴッドファーザーズ」

18/Jan./2004

  

さぁ、2004年。

年が明けて最初に観た映画は、やっぱりテアトル梅田。
「東京ゴッドファーザーズ」。昨年末に公開された邦画アニメ。一昨年に観た「千年女優」と同じ今敏監督の最新作。

「千年女優」は前知識なしに観てもとても良かった。アニメは宮崎駿のジブリくらいしか知らなかったけど、「千年女優」は斬新だった。ジブリ以外にもこんなに面白い作品があったんだ、と素直に感動しました。この「東京ゴッドファーザーズ」もそんな期待を込めて観に行きました。実際に観た人の話しを聞くとこれもなかなか「良い」らしいしね。

東京は新宿。そして、クリスマスの夜。
人生を捨てた三人の浮浪者が、ゴミ捨て場に捨てられていた赤ん坊を見つけるところからこのお話しは始まる。「捨て子を拾う」なんて普通は警察には届けるんだけど、三人はなんとかして自分達で母親を探そうとする。

そんなまるで映画のようなお話しが展開される。三人の母親探しの旅が始まる。
しかし、世の中そんなに甘くはない。手がかりは、その場に残されていた、赤ん坊を抱いた両親の写真。それだけ。そこに写る風景を求めて、半ば当ての無い人探し。もちろん、ホームレスである三人へ世間の目は冷たい。ましてや持ち合わせるものも持っていない彼らは、その日を食べることでさえままならないのだ...。

しかし、そんな彼らに奇跡のように偶然の出会いが訪れる。偶然にしてはいささか奇跡的すぎる出来事の連続だけど、それはクリスマスの夜に拾われた赤ん坊だって「奇跡」と言ってしまえばそれまでだものね。確かに良くできたアニメ。

この映画は、ホームレスに対する偏見を考え直すようなことを促すメッセージではないし、親子の愛情を問うお話しでもない(と思う)。少なくとも僕はそんなことは感じなかった。
そんなところに今敏監督の作品だとうなずけるところもあるけれど、「千年女優」を観終わった後に感じたような強烈な余韻はなかったなぁ。

設定は現実的なのに、物語りは奇跡の連続すぎて、どうもなぁ。大きな感動が呼び起こさない。もう少し映画らしい「たいそう」な表現をした方がよかったのかもしれませんね(何をエラソウに!)。

次回は「再見(ツァイツェン)〜また逢う日まで」をご報告します。