「28日後...」

10/Jan./2004

  

今回はシネ・リーブル梅田で観ました「28日後...」2002年のイギリス映画。
ミニシアター系の映画とはいえ、なかな良いという噂が耳に届く話題作。

人間の理性を破壊し、怒りの感情だけを増幅させる恐ろしいウイルスが広がった。ウイルスは血液から感染し、わずか数秒でその人間の精神を破壊させる。 感染者は親、兄弟といえども見境無く襲いかかり、ただ暴力のみに生きる屍生人となってしまうのだ。そしてその28日後...。

ジムが目を覚ますと、そこは病院のベッドだった。辺りを観まわしてみたが、自分の他は誰もいない。誰かいないものかと思って病院内をさまようが、まったく人気が無い。外へ出てみて歩き回ったが、燦然と広がるロンドンの街中に本当に人一人誰もいないのだ。

この冒頭の映像は度肝を抜かれる。
よく撮ったと思うこの映像、スクリーンに主人公以外まったく人が写らないのだ。遠くから写された全景でも、人一人っ子いない。そんな中にポツンと一人さまよう主人公。この光景だけで何か不安に駆られる恐怖感が浮き出てくる。
「おっ今はるか向こうの方で誰か歩いていた!」なんて思わず探してしまった。ま、映画を観ていけば別に誰が歩いていてもおかしくないんだけどね。

ようやくジムは他の人間を見つけ、お話しが動き出す。
やがて生き残った(?)人々らと協力して、ラジオから流れてきた、軍が保護してくれるという情報を信じその場所へ向うのことになるのだ。
その旅の途中、無人のスーパーで楽しく買い物したり、原っぱで野宿したり、なんか緊張感が無い呑気な旅だなぁ、これが。僕だと怖くて外に出られそうにないし、絶対一人で歩けないけどね。

人類滅亡の危機か、この脅威のウイルスをどうやって退治し、人々は生き延びるのか。こんなところはアメリカ映画でありがちな盛り上り方だけど、この作品はその部分に焦点は当てられていない。
この映画の根底は、人間はウイルスに感染しようがしまいが、暴力の歴史を繰り返してきたという人類への警鐘なのだろうか。

大作というほどでも無いけど、なかなか稀に見る秀作だと思います。
以前に観た「ドッグ・ソルジャー」といい、イギリス映画もなかなか侮れない。機会があったら是非観てもらいたいですね。

次回は「トランサー/霊幻警察」をご報告します。