「巌流島/GANRYUJIMA」

02/Dec./2003

  

今回はナビオTOHOプレックスで観ました「巌流島/GANRYUJIMA」。
稀代の剣豪と伝えられる宮本武蔵が佐々木小次郎と決闘した、「巌流島(当時は船島)の決闘」をこの映画は描いている。

「実はこの決闘は行われていなかった!?」という説を唱え、しかも一般の定着している武蔵像とは違い「野蛮で粗暴、女は犯し、男は殺す」という破天荒な悪漢という設定。
宮本武蔵を本木雅弘が演じる。他のキャストには、船島で武蔵の到着を待つ佐々木小次郎には西村雅彦。武蔵を小船で船島まで運ぶ漁師の船頭にロンドンブーツ1号2号の田村淳。その他にも端役で中川家の兄剛と弟礼二が出演していたりと(どこで出ていたのか最後まで分からなかったけど)、出演者もいつもと違ってなかなか興味深い。田村淳は笑わせ役かと思ったけど、彼は役にはまってなかなか演技をしているのには感心した。

もともと宮本武蔵の実像は現在ではあまりわかっていなくて、史実に残る武蔵の資料はごくわずからしい。我々に一般に定着している武蔵像は後世の創作、中でももっとも有名なのが吉川英治の小説であり、最近ではコミックの「バガボンド」かな(それとも今年の大河ドラマ?)。
60余の真剣勝負での決闘を繰り返し、また晩年には細川家に仕えて書画、兵法にも通じたという。しかし幾多の死闘を繰り返して来た彼が、どうして晩年になって仕官を求め、やがて細川藩に客分として仕えたのか? あまりにかけ離れた人生の前半と後半。
そういった謎を出発点に、まったく今までなかった別の視点から歴史をとらえた作品を観るのも面白い。

ただこの映画は巌流島での決闘が行われる、その一日だけを追っている。
この日の朝から、船に乗って島に向うまでの経緯。島でひたすら待ち続ける小次郎と検分役の細川藩士の会話。お話しが遅々として進まず、これがまた辛気臭い(寝てませんよ!)。
「武蔵と小次郎の巌流島での決闘は無かった」それはそれでいいのだが、その後の急展開はいささか無理矢理のように思える。突然頭が可笑しくなって、真面目な侍に変わるというのも納得いかない終わり方だ。それなら漁師の田村淳をその後の宮本武蔵とした方が話の展開としては面白なのにな。

今となっては真実の武蔵像は謎。
しかし、後世の私達に知られる武蔵像のように、文武両道に長けた侍こそこが真の侍の姿かもしれない。刀を振り回すのだけが侍ではなく、世界に誇れる「侍=日本人」の姿として、武蔵を新に見直す必要があるのではないでしょうか?

次回は「テハンノで売春していてバラバラ殺人にあった女子高生、まだテハンノにいる」をご報告します。