「運転手の恋」

15/Nov./2003

  

今回は七藝で観ました「運転手の恋」、2000年台湾の映画。原題も「運転手之戀」で、宮沢りえが出演しているのでごく一部で話題の作品。

台北の街でタクシー運転手をしている青年アチュアンが主人公。
ある日スピード違反で捕まった。その取締をしていた婦人警官(宮沢理恵)に彼は一目ボレしてしまう。恋をしたアチュアンは、それからというもの何とか彼女の気を惹こうとする。
彼がとった行動はなんと、彼女の取締中にあの手この手でわざと交通違反を繰り返すこと。その度に彼女に違反切符を切られてしまうが、それこそが彼にとっての喜びとなる。アチュアンがしていない違反はもはや人身事故と免許不携帯だけという始末。なんとも滑稽なお話で、なかなか面白い。
予告編を観てもその楽しさが伝わって来たので、わりかし期待していた。

台詞はすべて吹替えだが、何故宮沢りえなのか?
それは監督によると「一目ボレするほど美しく、演技の出来る女性だから」選んだそうだ。それも納得、宮沢りえはこの後に「華の愛/遊園驚夢」(2000年中国)でモスクワ国際映画祭最優秀主演女優賞し、また2002年の邦画「たそがれ清兵衛」でも国内での主演女優賞に輝いている。

この運転手の変わった恋を描いた“運転手之戀”のお話なんだけど、意外とその恋のエピソードは短い。
前半は主に主人公を中心に、彼を取り巻く両親や妹など家族のエピソードから始まる。皆どこか“変な人”でユーモアに描かれてそれは面白いが、やけに話が長く物語が進まない。
ようやく宮沢理恵が登場してきた時には、「おっ」と息を飲み込み姿勢も正すほどの期待が込み上げて来た所だけど、結局は彼女がアチュアンに携帯番号のメモを渡したところから、すんなりと話は進んでいく。
しかも最後はちょっとしっくりこない、なんだか暗ーい気持ちのまま終わってしまうのも残念。ラブコメディという程でも無いし、かといってコメディにしてはなんだか中途半端な話だったカナ。
でも、アチュアンまでとはいかなくても、宮沢りえに一目ボレしてしまう気持ちもわかる彼女の美しさは観どころですよ。

次回は「呪怨2」をご報告します。