「ライムライト」

26/Aug./2003

  

続いて「ライムライト」1952年の作品。チャップリン63歳。年老いたコメディアンという自身と重なる役を演じたこの作品はチャップリン生涯最後の作品として意図され制作される(結局その後も映画は2本撮られるが、ハリウッド作品としては最後になる)。
しかし前の「独裁者」「殺人狂時代」と続くチャップリンの政治思想は当時の大衆の批判を浴び、たちまち上映中止とされてしまう。この作品が改めてアメリカで上映されたのは1972年、チャップリン83歳の時。

20世紀初頭のロンドン。
かつては舞台で観客を笑いの渦に巻き込んで、一世を風靡したコメディアン、カルヴェロ(チャールズ・チャップリン)も今はすっかり落ちぶれて、この日も酒に酔っ払ってアパートへ帰ってきた。
ところが部屋に戻ろうとした時、ガスの匂いがするのであわてて駆けつけると下の階の住人が自殺を図っているではないか。間一髪で助けたその娘はテリーというバレリーナだったが、自分の力に限界を生きる希望を無くしていたのだ。歩くのもままならなかった彼女だが、カルヴェロは一生懸命に介抱する。
やがてテリーは自信を取り戻し、一躍スターダムにのし上がってトップ・バレリーナとなる。
しかし、一方のカルヴェロは仕事も無く、順風満帆な彼女を見守りながら傍を離れて行く...。

チャップリンの集大成らしい、落ちぶれた老コメディアンと若いバレリーナの交流を描いた心温まるお話し。尚且つチャップリンがコメディアン役として、劇中でも喜劇を披露してくれる。
しかし、若い娘が何十歳も離れた老人に恋愛感情を抱くというのもどうかと思う。それにこの映画で一番ツライところは上映時間が長いこと、2時間をちょっと回る。冒頭のテリーを助けて励ますくだりも、台詞が哲学的でチャップリン思想がプンプンしていてとにかく長い。また劇中劇が行われるだけに、それもまた長い。
最後のコントもまた「もういいだろ」と思うほど同じことの繰り返しで、期待させていたわりにはイマイチだったかな。もうちょっとストーリーを簡潔にスッキリさせないとね。

年老いた老コメディアンという役がチャップリン自身にも重なるわけだけど、チャップリン最後の集大成と言うわりには笑いも涙も中途半端だったような気がする。
最後に泣けなかったのは、老コメディアンの挫折から最後の奮起までの感情の移り変わりが、あまり描き込まれず話がとんとん拍子過ぎたからカナ。
まぁチャップリン映画を観続けて来た最後には是非観て欲しいいい作品だけどね。

ヒロインのテリー扮するクレア・ブルームがいい!
こんなべっぴんさん掴まえて、おまけに「結婚して」と云われるなんて羨ましい限りだナ。
今はもうおばあちゃんだけど、まだ何かの映画に出ていたと思います。

次回は韓国映画「チャンピオン」をご報告します。