「巴里の女性」

08/Aug./2003

  

さてまたやって来ましたチャップリン映画祭。今回は「巴里の女性」、1923年の作品。
ちなみにこの作品は制作・監督・脚本がチャップリンで、彼自身は映画に出演しておりません。チャップリンが喜劇以外を初めて手がけた作品。

物語はフランスの片田舎から始まる。 純粋な乙女のマリーとその恋人のジョンは愛し合う仲だったが、双方の父親はそれを認めなかった。ついに二人は家を飛び出し、パリで結婚することを誓う。
しかし、待ち合わせをした晩、ジョンは現れなかった。父親が急死してしまったために、ジョンは家を離れられなかったのだ。こうしてマリーは一人パリへと向った...。

そして数年後。華やかなパリの街、夜の盛り場。
ブルジョワたちは毎晩お気に入りの女性を連れては食事をし、その夜を共にする。マリーもいまや独身の富豪ピエールの寵愛を受け、贅沢三昧の生活を送っていた。
そんな折、パリにいて偶然ジョンと再会。彼は父親の死後、残された母親と一緒にパリへとやって来て、画家を目指しながら質素に暮らしていたのだった。 すっかり変わってしまったお互いの姿や立場に二人はとまどう。再会を懐かしむマリーはジョンに自分の肖像画を描いてほしいと頼む。そして、約束の日、一番豪華な衣装を着てモデルに立つマリー。しかし、ジョンが描いたマリーの姿は...。

特に大きな感動を呼ぶストーリーでも無いけど、純粋に楽しめる悲しいラブストーリー。昔っぽい映画の手法なども観られてなかなか興味深い。
それに当時(いつぐらいの時代だったんだろう?)のパリの女性や資産家たちのなんと華やかのこと。アパートとは言っているけど、豪華な内装でおまけにメイドがいるなんて贅沢な生活なんだ!
資産家たちの方もこれまたカッコイイ。シルクハットにピシッとしたタキシード、ステッキを持って流麗に動く様子は、今となっては時代はずれだけどなぁ。僕も年とったらこんなおっさんになりたいなぁなんて思ったりして。

肖像画のエピソードは安直とはいえ、素直に感動できる題材なのでもうちょっとひっぱってもよかったんじゃないかな。ラストの彼が死んだ後の方がもっと涙が誘えた話だと思う。

ま、なんにしろチャップリンを観に来た人にとってはなんのこっちゃという話でしたでしょうね。
ちなみにマリー役のエドナ・パーヴィアンスはチャップリン映画によく登場する女性。「キッド」では赤ん坊を捨てた母親役。その「キッド」の冒頭、キッドの母親を捨てた男がカール・ミラーという人で、今回のジョン役でしたね。

続けて「チャップリンの黄金狂時代」です。