「モダン・タイムス」

02/Aug./2003

  

チャップリン映画祭。続いての上映はかの有名な「モダン・タイムス」1936年の作品。

ちょっと風刺を効かせるチャップリンの映画。この作品でも、その当時の目まぐるしく変貌した近代化、産業の機械化、労働者の人権問題、また貧富の差...。それらの矛盾とも思える人の幸せを皮肉ったのでしょうか?

近代化された工場で働く作業員のチャップリン。
しかし、この工場での仕事は、毎日くる日もナットを閉めるという同じ単純作業の繰り返し。こんな状況にとうとう頭はバクハツしておかしくなるし、ストライキデモのリーダーと間違われて拘束されるてしまうのてんてこまい。
そんな時に出会った一人の女性、彼女は身寄りもいない浮浪者の娘だった。
映画の中のチャップリンが初めて声を出した、笑いと感動のストーリー。

これがまたかなり面白い、久々に大爆笑してしまった。
チャップリンのコミカルな動きは当然として、このアイデアにも感心してしまった。
今年(まだ半分だけど)一番笑った作品が、60年以上前のこの作品だとは、何とも...。

以前はチャップリンの映画を観ていてもまだ子供だったからか「おかしさ」だけを追って映画を観ていたような気がする。しかし、こうして改めてスクリーンで対峙する彼の作品に対しては、ただ観るだけでなく、役者・映像・ストーリーといった部分にも目が行くようになりますね。
チャーリー・チャップリン、やっぱりこの人は凄い!
こんなにコミカルな動きをして、一言も話さず、それでいて観客をここまで楽しませる。これほど面白い人は他にいただろうか。これが彼の「演技」だということを考えると、ある意味恐ろしい。

そして映像。セット、演出が凄い。 チャップリンはいつもいろんな場所で笑わせてくれる。その度にシーンが変わる、もちろんセットも変わる。そのシーンのだけに作られたとセットが幾つもある。やっぱりそれだけ予算がふんだんにあったんだな。
それにしても、当時の視点で作られた工場やら機械などは、現在から見ると妙におかしい。このギャップがまた面白いんだなぁ。

ストーリーはそれほど特別なものを感じたわけではなかったけどね。
でも、今でも充分楽しめるお話しだし、逆に余計なものが混ざっていないだけに、却ってわかりやすくて楽しめる。それにしても次から次へと場面を変え、ホントよく楽しませてくれる。

今までテレビでしか観た事なかったチャップリンの映画。
大勢のお客さんとスクリーンで観ると、周囲から聞こえる他のお客さん笑い声につられ、なお楽しい。やっぱり映画はこうでなくっちゃ!
こんな機会は滅多にありません。是非、劇場へ足を運んで、あのチャーリー・チャップリンにスクリーンでお会いになってみて下さい!

次回は中国映画、「春の惑い」をご報告します。