「イルマーレ」

10/Jul./2003

  

さてガーデンシネマを後にして次に向ったのは千里セルシーシアター。
ここでは今「チョン・ジヒョン特集」として「イルマーレ」と「猟奇的な彼女」を上映しています。この日の僕は未見だった「イルマーレ」を観賞してきました。2000年の韓国映画。

“イルマーレ”とはイタリア語で“海”の意味。海辺の家というか、実際は海の上に建っている一軒家。
この家に住んでいた二人の男女が時間を越えた文通を始める。男はイ・ジョンジェ、女はチョン・ジヒョン。ニ年の時を隔てたこのニ人を繋ぐのは、イルマーレの郵便ポスト。このポストに手紙を残すと、時間を越えて相手に届くのだ。

なんとも切ない恋のお話し。お互い心の傷を打ち明けあい、やがて惹かれあっていくニ人。しかし、出会うことは出来ない。
「ニ年前ならそこにいたわ」という彼女の言葉を読んでイ・ジョンジェはそこにいくが、当時の彼女は自分の事を知らない。声も掛けられない。なんとももどかしい、切ない気持ちだ。

そして、二人はある日に会う約束をする。それはチョン・ジヒョンにとっては一週間後のことだが、イ・ジョンジェにとってはニ年後のことだった。果たしてニ人は出会えるのだろうか...。

泣いてしまうような感動のお話ではないけど、このニ人のやりとりの切ない恋は自然に、繊細に、なんだか遠くの方から輝いているような美しい映像で描かれていて目を惹き付ける。
それにしてもチョン・ジヒョンはやっぱりかわいいなぁ、この作品を観てもやっぱり、後に「猟奇的な彼女」で大ブレイクする片鱗がうかがえるような気がする。一方、イ・ジョンジェは僕は初顔で知らなかったけど、他にもいろいろ出てて有名みたいなのでこれかも注目ていくようにしよう。

最後のオチはちょっと「?」がついたかな。イ・ジョンジェが彼女の目の前に現れるのはいいけど、彼女がイルマーレから引越しするときに現れては...。
「あんたまだ彼女は自分のこと知らないのに、また変な人やと思われるぞ!」

そう考えるとこのお話し、一見、本当にニ年の時間を越えたSFちっくな話に思わしといて、実は現実的にありえなくは無い話だともいえる。イ・ジョンジェが過去の人間のフリしてチョン・ジヒョンに手紙を出すのだ。駅のベンチに忘れたウォークマンと交通事故の死亡記録さえ手配できればなんとかなりそう...。だから、ラストは彼女が死亡事故を知った後ではなくて、あえて物語りの始まりに登場してきたのだろうか。
まぁそんな無粋な事を考えるのはやめて、この甘くて切ないストーリを堪能するのがよろしかろうでしょう。

次回は「デッド・コースター」をご紹介します。