「エルミタージュ幻想」

08/Jul./2003

  

この日は土曜日。仕事は出勤日だったけど、土曜なのでこれといってすることもなかろうと(ホントはあったけど)思いきって休みをとり、朝から映画を観てまわりました。
まず、最初に向ったのは梅田ガーデンシネマ。ここで朝のモーニングショーで上映されているのは「エルミタージュ幻想」。2002年ロシア・ドイツ・日本の作品です(日本はNHKの協賛だけね)。
劇場へは上映の30分ほど前に着いたのですが、ちょっと早すぎた? まだ劇場そのものが開場をしてなかった。それでも人はけっこう並んでいるから今回の作品の評判ぶりがうかがえる。ここガーデンではモーニングショーのみの上映なので、開場してからも続々と人はやってきて最終的には立ち見もでるほどの盛況ぶりでした。

今回のこの映画、いや映画と呼んでいいのだろうか、ある意味衝撃的な作品でもある。約90分間に渡る時間を、すべてワンカットで収めているのだ。
舞台となっているのは19世紀ロシアの首都ペテルブルクにあるエルミタージュ宮殿(現美術館)。そこに迷い込んだのが現代の映画監督アレクサンドル・ソクーロフ(本作の監督・脚本)。

目がさめたらそこにいた、何故なのかはわからない。
そして、彼の前に現れたのがフランスの外交官キュスティーヌ伯爵(実在の人物)。彼の導きによって、ソクーロフはエルミタージュ宮殿の中へ足踏み入れる。そこで繰り広げられる、さまざまな幻想的な世界。そのすべてが、ソクーロフ自身の視点から写し出されており、そしてすべてワンカットで続く。壮大なエルミタージュ宮殿の中を、90分間歩き続けるのだ。

映画にこれといってストーリがあるわけでは無い。ひたすらエルミタージュの中を巡り歩いて、現代と過去が交錯しながらロシア近世300年の歴史がいたるところで演出される。宮殿のその豪華な造りやそこで繰り広げられる舞踏会など、美しく幻想的な世界はたとえロシアの歴史を知らなくとも優雅なひとときを堪能できるというわけだ。
だけど、僕はやっぱり歴史は眺めているだけではなくて、登場人物が誰で何をした人なのか、ことこまかに知りたがるんだね、これが。ところがロシアの歴史は全然知らない。エカテリーナ大帝の名前は聞いた事あるけれど、何をやった人なのか知らないし、ニコライ1世に謁見したペルシアの外交使節の真意はなんだったのかもわからない。唯一ニコライ2世とその子、王子アレクセイと王女アナスタシアくらいは知っていたカナ。でも劇中ではただ家族で晩餐していただけのような気がする。彼らの最期はわりかしドラマだったかもしれないが、そんな舞台のような劇をワンカットの90分の中で演じるのはとっても無理があるだろうしね。

結局しまった、やっぱり少しは前勉強しておくんだった!(やっぱり途中寝てしまった!)と少し後悔。いい作品のはずなんだけどなぁ、残念ではある。
でもこの90分間ワンカットの映像、そして豪華なエルミタージュ美術館、一度は観ておく価値はあると思いますよ。是非劇場へ足を運んでみてください。

次回は「イルマーレ」をご報告します。