「永遠なる帝国」

20/Dec./2002

  

さてホクテンザ2本目は「永遠なる帝国」、95年韓国。同年の大鐘賞(韓国のアカデミー賞)で、作品賞・監督賞他8部門の独占入賞を果たした作品。この作品も韓国でベストセラーとなった小説が映画化されたものです。

舞台は18世紀、李朝時代のある1日の出来事。
まだ夜の明けぬ早朝、宮廷内で検書官の死体で発見された。その日宿直の当番だった宮廷図書館の管理人、李人夢(イ・インモン)はこの事態に驚き、すぐさま彼は優れた学者でもある実力者の丁若鎬(チョン・ヤギョン)に相談し、この事件を皇帝に報告する。
皇帝(アン・ソンギ)はこの変死事件の検死を長老の左議政に命じる。一方で李人夢には、事件によって消失したと思われる、検書官が持っていた秘密文書を探すように命じた。
李人夢は文書の行方を探す傍ら、左議政の報告した検書官の”突然死”という報告に疑問を持ち、丁若鎬と友に事件の真相を突きとめようとする。しかし、事件の鍵を握る人物がまた新たに死んだことを知った。そしてこの事件の影に、天主教徒(=キリスト教、いわゆる切支丹)だったため離縁させられた李人夢の妻、サンアの存在を知る。

いったいこの事件の真相は何なのか? 今にいたるまで、清・日本の侵略を防ぎ続けた李王朝。時代の流れとともに、新しい時代を築こうと、皇帝が支援する改革派のナミン(南人)派。そしてそれに対立する、左議政を長とした保守派のノロン(老論)派。この二つの権力闘争の狭間に起こった不可解な事件、そして謎の秘密文書。この日、“宮廷の最も長い一日”の出来事が始まろうとしていた...。

最初は歴史大河ロマンの時代劇と観構えていたら、実は宮廷内を題材にしたミステリーなお話。おまけにそれが李朝時代と、僕にとっては始めてな展開で驚かせられる。
それにしても謎だ、最初は事件の真相どころか時代背景もよくわからないので頭を抱える。しかし徐々にその真相が明らかにされていく展開にグイグイと引き込まれる。
皇帝を演じるアン・ソンギもなかなかのもの。先の「黄真伊(ファン・ジニ)」では誰だったのかわからなかったが(というより寝てたんですが)、この作品では皇帝である威厳を保ちつつ、また前皇帝の孫でありその忠臣であった保守派との権力争いに苦悩するような部分もうまく描かれている。

李氏朝鮮は武官より文官の方が地位も高いというような体制で(この体制では国内の内乱は抑えられるが、外敵からの侵略に弱いとか、でも李朝は先に述べた通り清・そして日本の秀吉の侵略からも国を守りきっている)、劇中でも鎧に身を包んだ武官が登場するシーンは少なく、またその権威もあまり無いと観うけられるところにリアリティが感じられます。

もっとドラマチックに描かれてもいいような場面もあるのですが、割と抑え気味に撮られてます。それだけにストーリに集中させられる、頭を使う映画。
なかなかの秀作です。1本前はぐっすり寝ていたのに、この映画は集中するのでバッちり観てしまいました。

やっぱり映画は面白い!
ホクテンザの韓国映画特集は結局この日の2本しか観ていないのですが、もっと観ておけばよかったーと後から思います。でも今度はシネ・ヌーヴォで<中国映画の全貌2002-3>として、中国映画66作品を一挙に上映するという凄い企画があります! これまた必見ですね〜