「夜間飛行」

01/Nov./2002

  

さて今回観ましたのは第七藝術劇場にて「夜間飛行」。2001年香港、原題は「慌心假期 midnight fly」。
“midnight fly(夜間飛行)”とは香水の名前で、統派の贅沢で謎めいた香り(よくわからん)がするらしいです。

事前に前売り券を買っていたものの、なかなか観に行く時間が無く、この日はなんと上映最終日の最終回でした。そんな時に前売券で観に来るなんて、映画鑑賞券をタダで手に入れて、気付いたら「あっ、今日で最後だ、ひまだし観に行って見るか」とかいう客に思われたらイヤだなぁ〜。僕は必死こいてようやく今日、この時間に観に来たんですよ七藝さん!とか勝手に思ってます。

主演はアニタ・ムイ。ジャッキー・チェン映画によく出演していましたね、なかなか演技幅が広い香港を代表するトップ女優の一人です。
そして映画初出演の純名りさ。宝塚出身で、テレビドラマや舞台で活躍。RAMというアーティスト名で歌手もこなし、本作の日本公開版の主題歌も彼女が唄ってます(僕は全然知らんけどね)。

映画のおはなし。
フランス・プロヴァンス地方のバスツアー旅行でのこと。香港人のミシェル(アニタ・ムイ)は6年間の結婚生活、冷めた夫との関係から逃げ出そうかと迷っていた。一方の日本人ミキ(純名りさ)は、3年間の不倫という可能性のない愛をこのまま貫こうかと悩んでいた。
お互い今の生活になんとか区切りをつけようと、独りで参加したこの旅行。ひょんなことから二人は親しくなり、互いの悩みを打ち明けるうちに、二人の間には強い繋がりが生まれる。
プロヴァンスから帰ってきた二人は、そのままモロッコへと出かける。しかしその旅の中、お互いの相手が実は同じ男だと知ってしまう。そして事態は意外な方向へ...。

親友となった二人の女性の、お互いの夫と不倫相手が同じだったという展開に、悩み葛藤していく人間ドラマと思いきや、実はお話しはとんでもない展開に。
それに危機迫った主人公達は、なんとか解決してそこそこハッピーエンドで終われるのかと思っていると、事態はどんどん悪化して、そのリアルな描写に僕も思わず「うわぁ...最悪」と引いてしまいました。

なんとも後味悪い映画。いや、ある種一風変わった名作なのかもしれない。アニタ・ムイや純名りさもなかなか好演をみせていたと思います。しかし、この映画が終わった後はどよ〜んと気分が沈んだなぁ。
そんな十三の夜でした...。

ところで、この日映画を観ている最中に火災警報が鳴るというハプニング発生。
いや〜人間って、なかなか信用しないもんですねぇ。「2階で火災発生です、すみやかに非難してください」という警報が映画の台詞より大きい音で鳴り響く中、誰ひとり動こうとしない。僕も「映画が写しだされている限りは大丈夫だろう」と思いつつ、一応念の為にすぐ逃げ出せる用、リラックスに脱いでいた靴だけは履いておきました。まぁ結局は誤報だったんですけどね。
でも実際に火事が起こった時に、取り残される人ってやっぱりそういう人達なのかなぁ、なんて思ったりします。

次回は再び天六で観ました<中国映画セレクション2002>をご紹介します。