「ノーマンズ・ランド」

09/Jul./2002

  

旧ユーゴスラビア連邦は、非常に複雑な国だった。

六つの共和国から成り、
五つの民族が混在し、
四つの言語が話され、
三つの宗教を信仰し、
二つの文字が使用される、
一つの国家であった。

偉大なる指導者が没しその影響力を失った時、各国で独立が始まり、内戦が勃発した。

動物園前シネフェスタを後にし、次に向ったのは梅田ガーデンシネマ。ここで観たのは「ノーマンズ・ランド」という映画です。ユーゴスラビアの内戦を題材にしたユーモラスな戦争映画。また戦争の異議を問う、風刺の利いた話題の映画でもあります。
舞台は1993年、ボスニアとセルビアの中間地帯”ノーマンズ・ランド”。この中間地点にある塹壕の中に、3人の兵士が取り残された。ボスニア軍の兵士チキとセルビア軍の兵士ニノ。そして体の下に地雷を仕掛けられ、身動きの取れないボスニアの兵士ツェラ。 お互い殺すか、殺されるか、憎しみ合う一触即発の仲でありながら、彼らは状況を見守る両軍から砲撃を受けてしまう。どうにか助かろうと、彼らは手を結ぶ。しかし決して、お互い心からは相手を信用しない。またその事態を聞いて、やってきた国連防護軍。そして各国から関心を持って群がる報道陣。しかし彼らの無力さ、偏執ぶりにはチキとニノも腹を立てる。そしてまた、いがみ合ってしまう。
結局最後は、2人はその無意味な戦争をそのままさらけ出し、地雷の上のツェラは置き去りにされてしまった。

実際のボスニア紛争をそのまま縮図したような設定と、展開は非常に良く出来ていると思います。
映画としては全体にユーモラスに描かれていますが、メッセージ色が強い為主人公が定まりにくい。前半は割と面白かったのですが、後半は特に第三者的な立場で観ることになり、面白みが欠けてしまったような感があります。
前売りを買って期待していたほどでは無かったかな、ちょっと変わった映画としてはお薦めできるかとは思います。

ガーデンシネマでは今後、「ホセ・リサール」というフィリピンの映画が気になりました。他には扇町ミュージアムスクエアで、「セッション9」という映画も観ようと思います。
それではサイナラ