「ザ・トレンチ 塹壕」

20/May/2002

  

最近「映画にはまっている」とまわりによく言われます。
映画って、なにか不思議な魅力を感じますね。
特に家で観るのと、劇場で観るのとは全然違う。
大きいスクリーンの映像だとか、音響だとかの迫力ではなく、なにかこう物理的なものではない何かを感じるんです。映画館だと観終った後に、ああ観て良かったと思う事が多い。例えそれがつまらない映画であってもだ。
以前ご紹介した、とんでも映画「カラー・オブ・ライフ」でさえ、映画を観ている最中には「面白くないなー、はやく終わらないかなー」などと思っていたのに、いざ映画が終わると「良かったのかな?」なんて思ってしまうし、それが翌日、翌々日と時間がたつ程「やっぱり観て良かった…と思う」と感じてしまうところが不思議だ。

この感想文も、もう少し日にちがたってから書いた方がいいのかもしれない。でもそれだとやっぱり内容を忘れてしまうので今書いておこう。
そしてまた、僕はまた映画館に足を運んでしまう。不思議な魅力にとりつかれ、しばらくこの行動は続きそうだ。

さて、先週はなにかと時間が無く、なかなか劇場に足を運べなかったのですが、休日を利用してまた映画を観に行きました。

場所は飛田のトビタシネマ。時間は15:20からの回。ここでは3本立てで映画を上映しております。入場料も800円と各安なのには驚きますが、何よりこの映画館、休日ということもありますが観客がオヤジオヤジで一杯。おまけ足元はゴミで足の置き場がないほど。オヤジどもは上映中ガサガサするわ煙草に火をつけるわ、もうたいへん! 座席も背もたれがやたらと固く短いので最悪の映画館でした。とても映画を観る環境ではないのですが、ここでしか上映していないからしかたがない。

僕が観たのは「ザ・トレンチ 塹壕」という第一次世界大戦のフランスはソンムの戦いを題材にした戦争映画です。
イギリス軍の部隊はこのソンムでドイツ軍から塹壕を死守すること。ひたすら塹壕の中で味方を待ちつづける。そんな状況の中での兵士たちの人間関係が話になっています。この映画はそれこそ物語の最後の最後に塹壕を出て攻撃に移るまで、舞台はずっと塹壕の中。
主人公は兄弟で兵士に志願したビリーという弟を中心とした若い新兵達。彼らを教育する職務に忠実な鬼軍曹。そして酒に逃げる士官の中尉が主な登場人物。

物語りはこの新兵達の話が主で、新兵の1人が持ってきた女性のヌード写真。塹壕の覗き穴から興味本位で外を覗いて狙撃され負傷するビリーの兄。また給食係の3人が食料庫に向かう途中、敵の爆撃に直撃し、無残にこっぱ微塵になるエピソードなど...。
そんな中で新兵達は何を思い、何を考えたのか。おそらくこの時代、彼らの年代が実際に兵士となって体験し思ってきたことをそのまま表現している映画だと思います。

彼らはこの戦いがどんな意味を持つのか、何故戦うのか、そんな事を考えることもなくただ仲間を殺した敵を憎み、命令に従い、文句を言いながらも、戦い続ける。これも戦争という中の一部分だと考えさせられます。

物語りの方は終盤、攻撃命令が出され兵士達は塹壕を出て行きます。中には恐怖の中から酒に溺れ銃もろくに持てないもの、自分で自らの足を撃ち抜いて負傷し戦いを放棄するもの。さまざまな人間がいる中ビリーは皆と一緒に塹壕を這い上がり、敵陣に向かって一歩一歩進み出した。
約2時間で6万人以上の死傷者が出たというソンムの戦い。
彼らは誰一人として生き残ることなく銃弾に倒れた...。

トビタシネマはとても映画を観れる環境じゃない、こんなところはさっさとオサラバと次は梅田に戻りました、サイナラ。