「ラン・ローラ・ラン」

あぁ、僕の人生にもリセットボタンがあったらなぁ…。


  

台風が遥かオホーツクへ去り、どことなく秋めいてきました。みなさんお元気ですか?

今回は「ラン・ローラ・ラン」、ドイツの作品。梅田ガーデンシネマで絶賛上映中。(今までと違って、今回はホントに)満員。そのせいで、右前に座っていた兄ちゃんのアタマで画面の1/16がみえず。ムカつくっ!(金城の真似)。

さて、お話は、恋人(マニ)が、20分後に親分に渡すはずだった10万マルク(1マルク=約57円、と言うことは約570万円、9/25現在・毎日新聞調べ)を地下鉄に忘れてしまい、主人公のローラに何とか20分で用意して!っと泣きの電話が入るところから始まるのね。電話を切った彼女は、10万マルクを工面するために奔走。果たして、間に合うのか?!というストーリー。文章にしてしまえば、それだけなんだけど、実は…。

(ここから先は「ラン・ローラ・ラン」を観ようかな、と想っている人は読まないで! でも「ぴあ」にも紹介されているので書いてしまいますが……。)

ローラが電話を切ってから、20分後までのストーリーが、なんと、3つも用意されているのね。それらを一話ずつ観客にみせるとうい斬新な手法。各々少しだけタイミングが変わっていて、20分後の結末はコロっと変わってしまう。一話目はハラハラドキドキして観ているのですが、ローラが部屋を飛び出すシーンにプレイバックして、二話目、三話目がスタートすると割とリラックスして、どんな風に変わっていくのか興味シンシン観察できます。

とにかく、20分後のエンディングへ向けて、毎回ローラが腕を振って走る、走る、走る(予告編を観たときに、ローラがあんまりかわいくないなぁと思っていたのね。でも今は、ローラはこうでなっくっちゃと思っています。彼女がかわいこちゃんだったり、知的な美人だったりしたらオハナシにならへん)。観ているこっちの息が上がりそうになるほど、ベルリンの街を走る、走る、走る。(もちろんベルリンへ行きたくなります、イランにもまだ行っていないのに!)

まるで、リセットボタンを押したかのように、ストーリーがプレイバックしたり、アニメを使ったり、ビデオ画像を取り込んだりと「これが新しい映画だ!」という作り手の意図はよ〜くわかるんだけど、なんか、パンチが足らん。というか、ストーリーにもう少ししっかりしたものが欲しいというのが、素直な感想なのね。マニのためにどうしてローラがここまで汗まみれになるのか、それが僕には伝わってきませんでした。

ローラと「袖ふれあう」人、それぞれに「その後(その人の将来)」の写真が挿入される手法(しかも、各話によって「その後」が違う)は、劇画的でとってもgood。銀行のガードマンのおっちゃんもいい味出しています。

人生って、ほんの小さなタイミングでどんどん変わっていくんだなぁ、なんて思わせる映画でした。あぁ、僕の人生にもリセットボタンがあったらなぁ…。

ローラが「マニ」って叫ぶ度に、それが「マニー(money)」と聞こえるのはシャレっ気ですかね。

さて、さて、次回は「クンドゥン」。楽しみです。

おしまい。